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継体天皇

長らく衆参両院で議論されてきた「皇族数確保策に関する立法府の総意」が、ようやく6月10日に衆院議長公邸で取りまとめられたとの報道があった。図らずもその直前の5月27日に恒例のトーハン週間ベストセラーの発表があり、中央公論新社の河内春人著「継体天皇-六世紀に現れた世襲王権の始祖王」が新書部門の4位に初登場している。
日本の天皇家は「現存する世界最古の王朝」としてギネス世界記録に登録されている。それは良いのだが、日本の建国は初代神武天皇が今から約2700年前の紀元前660年1月1日(旧暦)に即位したことに由来するとされ、明治憲法によって万世一系と定められているが、歴史上の記録なしに宮内庁と御用学者に言われても現代の一般人で腑に落ちる人はいないだろう。一方、日本の建国は歴史学的には古墳時代にあたる6世紀頃と言われている。それでも皇統が続く期間は1500年以上となり、天皇家が世界でも稀な長期王朝であることに変わりはないから宮内庁は安心しても良い。
歴史学的には古墳時代に世襲による現在の皇室に繋がる天皇制を創ったのは「継体天皇」とされており、その実像に迫るこの新書が注目されたのは当然だろう。皇族数確保の議論は重要だが、同時に「誰を始祖とする皇統を守ろうとするのか?」という国民の素朴な問いに答えることも重要であろう。「継体天皇」は神武天皇から数えて第26代と言われるが、507年に大王(天皇)に即位し531年に没している。歴史学的に実存が確実とされている最初の天皇である。
なぜ有力豪族たちはヤマト王権と直接血縁のない継体を大王(天皇)として担ぎ上げ「始祖王」としたのか。この問いに対し8世紀に編纂された「記紀(古事記と日本書紀)」に引きずられることなく、近年の歴史学の成果に基づいて実証的に書かれているところが本書の人気の本当の理由だろう。
第26代?「継体天皇」は日本史の教科書ではほんの数行しか登場してこない。日本が先の大戦での敗戦国の呪縛から解き放たれ、英国に範をなす立憲君主制に基づく天皇制を確立したいのなら、歴史を直視して先ず「継体天皇」を皇統においてしっかりと位置付けるべきであろう。
エジプトは5000年前の第1王朝の初代メネス王から第19王朝のセティ1世に至るまで、76名の王の名がカルトゥーシュ(王名枠)で記録されている。ローマ帝国も魏蜀呉時代の中国も高句麗と三韓時代の朝鮮も、継体天皇登場以前の歴史をしっかりと書き残している。たかが1500年前の日本の古墳時代が歴史学的に白紙であることは文明史として異様である。
この問題を明らかにしてから日本の皇統の承継を語るべきではないだろうか。

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