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ちあきなおみ

昭和歌謡が盛り上がりを見せているが、中でも「ちあきなおみ」は特別な存在だ。活動休止中にもかかわらずCDの売り上げが破格で、リリースされてきた復刻盤やベスト盤、BOXセットはいずれも好セールスを記録しているそうだ。2019年4月に発売されたコンセプトアルバム『微吟』は36年ぶりのオリコントップ40入りを果たし、日本レコード大賞の企画賞を受賞、ロングセラーとなっている。
さらに2022年10 月に発売された令和初アルバム『残映』が発売から1週間余りで、31日付オリコンの週間ランキング演歌・歌謡曲部門1位を獲得。前作『微吟』も2位にランクイン、と30年前に活動を休止した歌手には異例の1、2位独占だ。
今年デビュー55周年を迎えた元歌手「ちあきなおみ」の全シングルおよび全アルバムの楽曲300曲以上が、デビュー日である6月10日に音楽ストリーミングサービスやiTunes Store、レコチョク、moreなど主要ダウンロードサービスでデジタル配信され若い世代からも注目を集めたことで、改めて『喝采』がそれぞれのランキングで見事1位に輝いている。
音楽が多様化し、圧倒的な声量やリズム感を備えた多くのシンガーが活躍する今でも、緩急自在のハスキーボイスで情景と心情を繊細に表現する「ちあきなおみ」の存在は別格だ。驚くべきことに今も新しいファンを獲得し続けているのだ。
膨大な音楽が定額でいつでもどこでも聴き放題という環境に慣れ親しんでいるサブスクユーザーは、平均で 1時間あたり 14.65回楽曲をスキップすると言われ、最新のサブスクヒット曲はイントロなしの楽曲が多い。そうした中で平均イントロ20秒の昭和歌謡が、“Z世代”と呼ばれる10代から20代前半の若者たちにも浸透するのはなぜだろう。
人間の普遍的な心情をテーマに、詞と曲が一体となって情景を描き出す昭和歌謡の魅力がサブスクの聴き方まで変えているかのようだ。特に「ちあきなおみ」が繰り広げる歌のドラマがSNSを通じて日々共有・拡散され、楽曲のみならず歌い手の歌唱力や表現力への評価が再び高まっていることは見逃せない。
それにしても “30年前の自分”が時代遅れにならず、今でもアバター的に世代を超えた人々を魅了し続けるとは、その類まれなる実力のおかげとは言え生涯現役で頑張り続けようとする人達にとって目標だ。
メタバースに自分の分身を残し、未来のビジネスの中で稼ぐことをイメージするのは実に楽しい!

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