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通訳

大谷翔平がやっとホームランを打ち始めた。今回の水原一平騒動で調子が狂うことを心配していた日米のファンもホッとしたに違いない。ドジャースから追放された水原一平は、しかし「通訳」としては超一級だったようだ。大谷をネイティブと錯覚させる?ぐらい、ウィットに富んだやり取りを媒介できる逸材だったという記者が多い。
昨年のWBCの優勝のインタビューで、元レッドソックスのDevic Ortizfが、大谷がヤンキースのMikeTrout選手に投げた球について「Why you gotta get so nasty on him?」直訳だと「なぜ彼にそんな意地悪をしたんだ?」と質問したところ、それを水原は「なんであんなエグい球を投げたんですか?」と訳した。スラングを巧みに使い、咄嗟に絶妙な意訳をしたのだ。彼が過去6年以上にわたって大谷の信任を得てきた背景には、このたぐい稀な“通訳センス”があったのだろう。
大谷のアメリカ生活のアドバイザーでもあった水原が、生活全般をサポートする必要から単なる通訳を超える存在だったとしても不思議はない。金銭に無頓着な大谷が水原に頼り切り、スキが生じたのも分かる気がする。果たして今回の事件はどのような結末を迎えるのだろうか。
大リーガーだけでなく海外で活躍する日本人の英語力の無さはかなり特殊かもしれない。特に心配なのが合同軍事演習での兵士間コミュニケーションであろう。最近は日米韓のみならず、日米豪比と共同作戦が拡大してきている。今月7日には「海上共同活動(MCA)」と称した自衛隊と各国軍の共同訓練が、フィリピンの排他的経済水域(EEZ)内で初めて実施された。南シナ海で中国に対して“連携”して対峙する姿勢を示し抑止を図る狙いのようだが、「通訳」を米軍に頼って演習に参加する自衛隊の姿には不安しかない。
自衛隊幹部には通訳を必要としない英語力を持ち合わせている人も多い。しかし共同訓練の現場での自衛官を見るとあまり英語が得意とは言えないようだ。外国人兵士とコミュニケーションが取れない自衛隊員たちは、実戦になったら烏合の衆だ。
米豪比の兵士は自国の方言や訛りがあっても基本的に英語に不自由はない。激戦に巻き込まれればいちいち通訳を介している余裕などないはずで、4カ国合同演習の最大のリスクが日本の自衛隊員のための通訳だと言われるようなことだけは避けたい。
グローバル時代の今、外交、スポーツ、軍事、全ての異文化の接点で通訳のレベルが国力を左右する時代が来ているのだ。片言の直訳だけでは、自衛隊員は永遠に同盟軍の一兵卒を抜け出せない。

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