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おにぎり好き

最近のおにぎり専門店の出店には目を見張るものがある。総務省の家計調査では2023年の「おにぎり類」の消費支出額が約3,500億円(世帯あたり5,909円)、と前年から14.3%の増加となっている。おにぎり専門店出店とコンビニの豪華具材のふっくら高級おにぎりの登場が、全米飯需要を力強く押し上げていることが報告されている。今の日本、高齢者はある理由からパン食志向が強いが若者ほど「コメ好き」が顕著に見られる。
猛暑の中、8月に大都市圏のスーパーの店頭から米が消え大騒動になった。9月から新米が店頭に並び始めたことで沈静化したが、米の店頭価格は昨年比で約3割前後高止まりしている。この「米がない!」騒動は、マスコミがマーケットの分析をせずに自然災害への国民の危機感を煽る報道に終始したせいでもある、コロナ禍以降の「日本の食糧需要」の大きな変化を見逃すべきではないだろう。
戦後、食料安全保障は米国依存型に設計され、水稲の作付面積は1969年の317万haをピークに23年には134万haにまで減少、収穫量も1967年の1,426万トンをピークに23年にはわずか661万トンまで下落している。1945年終戦時の日本の人口は7200万人だったが、2008年には1億2800万人のピークを迎えている。食糧需要が明確に増え続けているにもかかわらず、1970年以降約50年も米の「減反」を行い、日本は不自然に小麦を主体とした輸入食糧に頼る国に変質していった。
そもそも日本の減反政策は、戦後小麦の過剰在庫に悩んだ米国の国策によるものだ。敗戦で深刻な食糧不足にあった日本はその恰好のはけ口とされ、結果ベビーブーマーから1960年代生まれの日本人の食生活は強制的に小麦主体となり、日本の現高齢者はすっかり「パン好き」になっていったのだ。
ところがどっこい、団塊ジュニアやZ世代と言われる今の日本を支える世代は「パン好き」の親に逆らって禁断の米の美味さを知り、無類の「コメ好き」特に「おにぎり好き」となっているのだから面白い。コロナ禍後2023年のコメ需要は前年比11万トン増の702万トンとその年の収穫量661トンを遥かに上回っている。日本の米需要は復活し、作付面積を増やし自給率を上げる必要が出てきたのだ。それどころか、日本に小麦を押し付けたアメリカ人までもが寿司ブーム・日本食ブームを経て、今や“ONIGIRI”に夢中、旅先の日本でおにぎりを爆買いする。
日本の高品質な「コメ」は昔の米ではなく、もはや国家戦略商品になっている。

| 24.09.27

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