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京都国際
「東の海を渡りし大和(やまと)の地は、偉大な祖先の古(いにしえ)からの夢の場所。朝な夕なに体と徳を磨く我らのふるさと韓日の学び舎(や)‥」これは夏の甲子園大会を初制覇した京都国際高校校歌のNHK版意訳だ。校歌自体が韓国語で歌われたために全国的に話題となったが、京都人にとっては1956年の平安高校以来68年ぶりの優勝だ。
「日本海」に替えて「東海」(トンヘ)を国際的な呼称にするよう主張する韓国の団体がある中で、そうした政治的主張から高校野球を切り離すべく、学校側からNHKに「東海」ではなく「東の海」とする日本語訳を提出したようだ。そうした思惑はともあれ、この校歌の意味を知れば、素直に韓国も日本のルーツの一つなのだと感じる若者も多いのではないだろうか?朝鮮半島から見た日本列島は古の時代から穏やかで山海の珍味に溢れた憧れの国であり、これは渡ってきた先人を誇りに思う気持ちを表した校歌なのかと。
韓国系民族学校をルーツにもつ京都国際高校だが、1947年に京都朝鮮中学として創立され、京都韓国学園を経て2003年に日本の学校教育法が定める「学校」としての認可を受けている。京都国際高校の優勝に韓国メディアは興奮し、尹錫悦大統領や趙泰烈外交部長官たちが祝賀メッセージを寄せたのは印象的だった。
京都国際高校の全校生徒数は138人と非常に少なく、男子生徒68名のうち野球部員が61名という学校である。そうした中で小牧監督は必殺請負人として、過去16年間に11人ものプロ野球選手を誕生させ、「野球」という切口から日本での韓国の思いを伝えているのではないだろうか。
京都国際高校のみならず、日本には各国の特定の意図の下に創立された学校が意外に多い。イエズス会系の学校を始め、フランス系、英国系ミッションスクールは、戦後、遡れば明治以降の日本の欧米化を促進する人材を多く輩出し、英語やフランス語の校歌を持っている学校も少なくない。昨今は中国系や台湾系のインターナショナルスクールも中日英トリリンガル教育で人気だ。ロシア極東連邦総合大学 函館校は新たな生徒募集が暗礁に乗り上げているようだが、北朝鮮系の朝鮮学校は無論健在だ。日本の学校教育の場は日本進出を図る各国の草刈り場とも言える。
今回、自民党総裁を狙う候補者たちのほとんどが米国有名大学の修士過程を修了し、さらにはジャパンハンドラーの本拠地CSIS(Center for Strategic and International Studies)で研修した候補もいる有り様を見ると、米国の戦後80年に及ぶ粘り強い施策の成果が見てとれる。
中国やロシア軍機の領空侵犯どころか、地上の国民はグローバル化という名のもと、隣国から洗脳を受けている真っ最中だ。
| 24.08.30
巨大地震注意
8月8日の宮崎県沖の日向灘を震源とする震度6弱の地震を受けて、気象庁から初めて「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が発出された。巨大地震はいつ来てもおかしくないと専門家の間で緊張が高まっている。
「今後1週間程度は巨大地震へ備えるよう」と呼びかけたため、お盆休みを控えた観光地では宿泊キャンセルが相次ぎ、対象エリアの海水浴場も閉鎖され、水や食料品の買いだめをする動きが目立った。今回は「巨大地震注意」に「巨大台風の関東接近」も重なり、東海道新幹線が東京-名古屋間の計画運休を行うなど、観光業は踏んだり蹴ったりだったが、国家にとって大きな危機が迫っているという緊迫感は何故か乏しかった。
政府もマスコミも事態の深刻さをストレートに伝えて国民がパニックになるのを恐れたのか、AIによる南海トラフ巨大地震発生時の被害が甚大になるとの情報を把握しながら、人的被害(死亡予想)や経済的被害といった深刻な数字はほぼ公表せず、国家存続の危機を訴える政治家も皆無という有様だった。
AIによる被害想定は以下の通り。「地震の規模と影響範囲は、マグニチュード8から9クラスの巨大地震が予想され、静岡県から宮崎県にかけての一部地域で震度7、周辺広範囲で震度6強から6弱の強い揺れが想定される。さらに関東から九州にかけての太平洋沿岸の広域で10メートルを超える大津波が襲来する可能性が高い。最悪の場合死者数は32万人を超え、30都道府県で甚大な被害が発生する。」しかも復興にかかる費用は1,410兆円と首都直下型地震の1,001兆円を上回り、復興に要する期間は20年と予測しているのだ。
これ程の巨大地震を想定しながら、シェルターの設置、電線地中化をはじめ時間がかかる対策が遅々として進まないのが日本だ。問題先送りで、何年たっても避難場所が体育館での雑魚寝とはあまりにも情けない。今回、東大総合防災情報研究センターが対象地域の住民5600人にインターネットで調査した結果も現実との乖離が甚だしく、「家族との連絡方法を確認した」が9%、「家具の転倒防止の確認をした」は8%というお粗末なものだ。
100-150年周期で繰り返し起きている巨大地震は広島原爆以上の被害が予想され、しかも戦争とは違って政治外交力で防げるものではない。防衛予算に規模で優先する防災復興予算を組んでもおかしくない事態である。
トップが判断を先送りにすると、カナダ企業から買収提案を受けたセブン&アイHD然り、いかなる名門企業や国家も、歴史が示すごとく必ず衰退(時に消滅)するのである。
| 24.08.23
VAR神判
審判の疑惑判定を巡る議論がパリオリンピックで次々と巻き起こっている。中でもサッカー日本vsスペイン準々決勝は騒然となった。アジア王者として予選リーグを3連勝で通過し、グループ首位で決勝トーナメントに臨んだ日本と強豪スペインの一戦は0-3で日本の完敗に終わったが、日本の同点ゴールが「VAR(video assistant referee)」判定で取り消されるという”神判?“が下っていた。
開始11分で先制された日本は、前半40分に細谷が前線で相手DFを背負ってパスを受け、振り向きざまに見事なシュートを決めて1-1に追いついた。ところがこのシーンを「VAR神判」はオフサイドとした。スペイン応援一色でアウェー感満載のスタジアムも細谷のシュートを受け入れていたため、スタジアムからはブーイングが起きる始末だった。スペイン側から見ても日本の完璧なゴールだったのだ。
2022年サッカーワールドカップ・カタール大会でも「AI審判」とも呼ばれる「VAR」が用いられ、FIFA(国際サッカー連盟)は半自動オフサイド判定技術によるAI審判制度の導入など、サッカーでテクノロジーの可能性を最大限活用すると公言している。しかもこれは大相撲でいうところの「物言い」後のビデオ判定ではなく、試合中の「ゴールに至るまでのオフェンス」「罰則の決定に至るまでの違反」「レッドカード事案」「間違った主張」といった勝負の流れを左右する4つの状況下で、VARが自動的にレフリーをチェックするシステムなのだそうだ。VARは「審判の審判=神!」かのようだ。
1986年にVARがあったらディエゴ・マラドーナはアルゼンチンの英雄になっていなかっただろう。この年のW杯メキシコ大会はフォークランド紛争後のイングランドvsアルゼンチンが激突した。若きマラドーナは疑惑の「神の手ゴール」の後、60メートル「5人抜きのスーパーゴール」を決め、イングランドを撃破して一躍世界のスーパースターに成り上がった。それは「観客を味方につけた方が勝ち」とすら言わしめるものだった。サッカーでは審判を欺く行為、特に南米で「マリーシア」と呼ぶこの手のトリッキーなプレーはエキサイティングな試合には付きものだとしている。マリーシアの可能性を完全排除する現代のAI審判「VAR」は冷徹だ。人間の主観を排除し「公平」だがサッカーから確実に「情熱」を奪っている。
情熱的に双方がぶつかり合うからこそ、サッカーは時として世界紛争の「代理戦争」の役割を担ってきたのではないだろうか。
| 24.08.09
パープレ
ビジネスでもプライベートでもGoogleを始めとした検索エンジンを利用しない日はないだろう。Googleは検索エンジンの先駆けとして、今や世界のオンライン検索の93%を占めるまでに成長した。そのビジネスモデルはスポンサー付き検索肢によって成り立っている。
Googleは2023年度の検索サービスの広告で1750億ドルの収益を上げ、親会社Alphabetの全収益の50%以上を占めている。ユーザーはYouTubeの動画配信やメール、インターネット検索サービスを無料で利用でき、世界中のあらゆるデータにアクセスできる。しかし対価として見たくもない広告を見せられることに嫌気がさしているユーザーは少なくない。
そうした中Googleへの挑戦を明言して登場したスタートアップ企業Perplexity AI, Inc.が公開した「Perplexity(略称パープレ)」だ。NVIDIA、ジェフ・ベゾス、YouTubeの元CEOなど大物が出資し、検索市場を寡占しようとするMicrosoftに一矢報いようとしている。
実際に検索エンジンからサイトを訪れることなく直接答えを得ることができれば、スポンサー付き情報の中からほしいものを探す手間もなくなる。最先端の自然言語処理と機械学習技術を駆使した革新的AI搭載検索エンジンとチャットボットを提供する「パープレ」は、検索エンジンを超えてソリューション・エンジンとも言えるものだ。
実はここにきて「パープレ」の影響力が猛烈に高まってきた。GoogleのSEO(Search Engine Optimization)
プラットフォームBrightEdgeによると、今年3月末時点の「パープレ」は40%を超える驚異的な月間成長率を記録し、月間アクティブユーザー数が1000万人を超えたそうだ。もちろん巨人Googleに比べるとまだ小さな存在だが、その成長率には目を見張るものがある。SEO専門家やブランド企業も注目せざるを得ない状況になっている。
特に広告主導のビジネスモデルをやめ、ユーザーファーストのアプローチを取っている点が評価されている。例えば「Threads」と呼ばれる機能では、過去の検索履歴を保存しつつGPT-4を活用したマイクロソフトの「Copilot」機能で対話的な検索サポートも提供している。
次世代型スマホは端末側にもAIプラットフォームが搭載されるようだ。そうなるといよいよ「パープレ」や「Copilot」で自分用にカスタマイズされたスマホが、持ち主のIQを超える世界が見えてくる。
| 24.08.02