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世界一危ない都市

日本は交通事故死亡率、犯罪率、銃保有率の低さなどから世界で最も安全な国であり、首都である東京も安全性が高いとされているが、果たしてそうなのだろうか?日本国民やインバウンド観光客の幻想ではないのか。
保険組織のロイズがケンブリッジ大学と共同で行っている“Lloyd’s City Risk Index 2015‐2025”は、紛争や災害の脅威を合わせて試算している。この都市リスク指標によると東京はニューヨーク、マニラ、台北、イスタンブールを抑えて1位、大阪が6位、損害保険という「危険を値踏みする仕事」から見ると、「東京は世界で最も危ない都市」とされているのだ。しかも朝鮮半島問題、台湾中国問題、ロシアとの北方領土問題などいわゆる地政学的リスクも抱えていることは周知の事実だ。
にもかかわらず、英国の国際経済誌「The Economist」の企業間事業部門で、世界約200カ国の政治・経済に関する詳細な分析・予測やデータを提供する調査・コンサルタント会社Economist Intelligence Unitの “Safest Cities in the World 2024”では、東京が「世界で最も安全な都市」に輝いている 。「サイバーセキュリティ」で1位、「医療・健康環境」で2位、「インフラの安全性」と「個人の安全性」で4位、総合スコアではなんと1位である。2位はシンガポール、大阪が3位。2015年、17年に続き3回目の調査だが過去2回も東京がトップだったそうだ。
しかしこの調査、NECが協賛している点を割り引いて見なければならないだろう。主要60都市を対象に「がん死亡率」や「自然災害の死者数」「パソコンのウイルス感染率」「凶悪犯罪発生率」を含む50以上の指標から安全性を評価しているが、そもそも国土が持つ地政学的リスクや自然災害リスクを加味していない。
南海トラフ地震や富士山噴火が秒読みに入っていると言われる中で、今回の東京都知事選では災害に強い都市作りを公約にあげる候補が多いが、果たしてどこまで真剣なのだろう?
世界の都市が自然災害からの防災上最も重視している電線地中化率は、アジアで最低レベルだ。さらに内閣府から発信される全国瞬時警報システム(Jアラート)に至っては、核シェルターのない東京に核ミサイル飛来の可能性を告げるなど滑稽ですらある。
理論的に考えると東京はリスクの高い都市だということを国民は自覚すべきだろう。

| 24.06.21

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