料理頻度
日本は「手料理写真をSNSに投稿」する人の数が世界的に見て断然多いそうだ。インスタグラムで「#晩ごはん」というハッシュタグをつけた投稿は380万件を超え、中には「#新米主婦」「#ずぼら主婦」とつけている人もいる。
料理レシピサービスのCookpad社は「毎日の料理を楽しみにすることで、心からの笑顔を増やす」という企業理念が日常生活でどのように実現されているかを把握するために、ギャラップ社のワールドポールという大規模調査に「料理頻度」の項目を加えて数値化を試みたそうだ。
家で料理をする「料理頻度」をキーワードに、過去5年間積み重ねて分析した結果を「A Global Analysis of Cooking Around the World Year 5」2022年度版として昨年10月に公表している。これは世界140カ国を対象としたリサーチで、家庭での食のあり方を通して収入から学歴、ジェンダーギャップに至るまでの相関関連を分析したものだ。
その結果、大方の予想に反して手料理投稿が多い日本は決して料理頻度が高い国ではないということが分かってきた。「料理頻度」の世界平均は週6.4回(昼夕計14回中)で日本はほぼ世界平均と同じだったが、フランス、ドイツ、英国が意外に高く日本を週2回以上上回るなど、日本はカナダ、米国にすら及ばずG7中最下位であった。お隣の韓国は週4回と調査対象140カ国の下から3番目で世界最低レベル。しかも日本と韓国は毎年低下傾向にあり、奇しくも合計特殊出生率と似て余裕のないライフスタイルを露呈しているかのようだ。
2022年には「味の素」がこのギャラップ社の調査に参加し、「過去7日間、あなたは料理を楽しみましたか?(Thinking about the past seven days, in general, did you enjoy cooking?)」という質問を加えている。結果は58%が楽しんだと回答、17%が楽しめなかったと回答したそうだ。「料理頻度」の高い人は「料理を楽しんでいる」と言えそうだ。
こうしてみると、日本人がSNSに手料理投稿するのは「記録」のためや他からのリアクションがほしいだけで、「料理が楽しくて料理頻度が増える」のとは少し違うようだ。日本の家庭内の食の実態は、決して豊かで楽しいとは言えないのかも知れない。
世界的にも種類が豊富で想像を絶する充実を見せるスーパーの惣菜やコンビニ食は、日本の薄っぺらな家庭生活を映し出すものであり、決して暖かい人間的ライフスタイルの反映ではないと考察できる。
| 24.06.14