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シャオミSU7

中国最大のスマート家電メーカー「小米(シャオミ)」が、3月30日にEV(電気自動車)「SU7(スーセブン)」を発売して絶好調だ。予約受付開始わずか27分で予定の5万台を完売し、4月24日現在累計7万5723台を売り上げ、その後の北京モーターショーでも爆発的な人気を博した。
シャオミがEV市場参入を宣言したのは2020年12月。テスラのモデル3とポルシェのタイカンをベンチマークに、実質的には3年でゼロからの開発に成功したスピードには驚くしかない。しかもこの2車の性能を多くの点で上回りながらベースグレードでおよそ453万円と低価格を実現している。 全固体電池が実用化されるとこれらスマート家電型EVのシェアは爆発的に伸びそうだ。
シャオミはSU7を通して、「人×車×家」スマートエコシステムの重要なステップを構築するとしている。スマート家電を生業とするシャオミらしく、最先端技術と先進的な運転体験によって総合的なモバイルスマート空間の実現をめざしている。「Xiaomi HyperOS」を基盤として、EVを含む200以上の製品カテゴリーをシームレスに統合。テスラを超えて、エコシステムの範囲はユーザーの日常的な活動シナリオの95%以上にも及ぶという。
日本政府は先日、2030年までにソフトウェア・ディファインド・ビークル(SDV)対応の車を新車販売の30%台にすると表明し、2035年までにはEVの比率を100%にすることを目標にしている。しかし日本が「HEVを含んで100%EV」を死守するのはトヨタを守りたいだけか?
EV車のアーキテクチャーがガソリン車と大きく違う部分を直視しないと、中国が送り込んだSU7が米国、日本、ドイツの世界に冠たる内燃機関(エンジン)製造サプライチェーンへの“刺客”だということを認識できないかもしれない。
テスラ、BYD、シャオミ、ファーウェイ各社のEV競争は、「クルマのスマートフォン(SDV)化」を加速させている。日本は半導体ファンダリーのTSMCの工場を誘致して騒いでいるが、次はシャオミSU7の工場誘致かもしれない。
シンガポールやマレーシア等が1日で成し遂げるETC導入に25年以上かける国だ。ホンダとソニーの「アフィーラ」は何年かけてSU7に追いつくつもりなのか?過去の栄光を引きずっていると、日本はモビリティー産業での来るべきSDV戦争に間違いなく大敗するだろう。

| 24.05.24

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