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GDP? So What?

日本人はGDP(国内総生産)の順位に過敏に反応する国民だ。世界の国は人口も違えば貧富の差や格差も様々なので、GDPは経済の規模を国単位で把握する指標に過ぎない。どうしてそこまで拘るのか、ある意味不思議だ。30年前の世界一の経済成長が忘れられないのだろうか。
GDPが大きい国にあまり魅力的な国はない。決して生活の質やゆとりを示す指標では無いのだ。
国際通貨基金(IMF)が昨年10月に発表したWEO(世界経済見通し)によると、2023年の日本の名目GDPは前年比0.2%減の4兆2308億ドル(約633兆円)で世界4位に陥落。対してドイツは8.4%増の4兆4298億ドルで日本を抜いて3位に浮上している。因みに米国は26兆9496億ドルで断トツの1位。2位は言わずと知れた15億人の民に鞭打って17兆7009億ドルをたたき出した中国だ。そして1人あたりのGDPなどという日本人を惑わすだけで全く意味のない数字も同時に発表されている。日本は33,950ドル/人と世界196カ国地域中34位に後退し、遂に韓国(35位)に追いつかれてG7で最低だとマスコミは嘆く!
因みに昨年の米ドル円は年初来騰落率が12.4%の上昇と、日本円の対ドル下落は主要10カ国(G10)通貨で最大。対ユーロでも12%下落している。ドル建てGDPの順位は経済成長というより為替が決めたようなものだ。
暮れの12月5日に発売になった「ミシュランガイド東京2024」だが、東京は17年連続で星付きレストランの数で本家パリを上回る。世界一の美食都市の東京、京都を抱える日本は、生活の質では決して卑下する必要がない。日本はどういう国になりたいのか?安全保障のために、高くて不味いレストランがチップを20%も要求してくる超大国の属国になるのか?貧富の差は世界一だがのんびり暮らせる微笑みの国を目指すのか?礼儀正しい日本国に更に磨きをかけるのか?
他方、日本の対外純資産残高は遂に3兆ドル(418兆6285億円)を記録し、32年連続で「世界最大の対外純資産保有国」となっている。バブル崩壊後の「失われた30年」は意図せずに海外に資産を分散移動させた期間と一致する。そのお陰で昨年は約50兆円もの配当を海外から受け取っているのだ。
昨年7月に発足した人口戦略会議が新年早々、「人口減少数で世界ランキング1位の日本の人口は、8000万人ぐらいが相応しい」と提言したのはちょっとした救いだ。

| 24.01.12

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