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フェアプレイ

第19回アジア大会が9月23日から中華人民共和国杭州市で開幕されている。2018年ジャカルタ大会以来久しぶりとなる朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)、通称「北朝鮮」単独での国際試合への参加とあって何かと話題になっている。
北朝鮮選手団は、前回は韓国と合同チーム「コリア」を組み揃いのジャケットを着て入場、金メダルも獲得した。こうした南北融和と北朝鮮の非核化への期待が高まり始めた時とは一変、現在朝鮮半島は尹大統領の金主席への強行スタンスによる分断が進み、南北チーム間の協力を模索する動きもなくなった。
そうした状況下でのサッカー男子準々決勝は、日本代表が北朝鮮代表と対戦し2-1で勝利した。しかし試合は北朝鮮選手によるラフプレーが頻発し、試合終了後には判定を不服として主審に激しく詰め寄る姿が見られるなど、「とても国際大会に出られるレベルにない」「スポーツをやる資格なし」といった厳しい意見が飛び交うこととなった。
「前代未聞の暴挙連発」と韓国など西側メディアが驚愕の声を上げる中、中国メディア「捜狐」は「北朝鮮チームの果敢に戦う姿勢には〝タフガイ・サッカー〟が反映されており、わが国の代表が見習うべきお手本である」と好意的に伝えた。低迷する中国サッカーには、北朝鮮のようなラフプレイもいとわない闘争心が必要であるという発言は、国と国との戦いにおける素直な気持ちでもあろう。
北朝鮮代表の態度は褒められたものではないが、国際大会での勝利が国力や選手個人の待遇に大きく影響する国が多いことを日本は理解しておくべきだろう。韓国ですらアジア大会で金メダルを獲得すると約2年間の兵役義務が免除される。代表選手の勝敗への執念の強さは、これらのメリットによっても大きく影響されている。脱北した元朝鮮労働党幹部は、北朝鮮では「国旗を掲げて争うのはスポーツと戦争の二つしかない」と常々言い合っていると語る。
憲法で建前上戦争放棄し、国際政治感覚に乏しい国になってしまった現在の日本では、単なる“スポーツマンシップ”とか“フェアプレイ”が重要視される。日本国民の論調は概ねそうした精神を持ち合わせなければ国際大会に参加する資格がないとでも言いたげだが、世界ではむしろ少数派かもしれない。
奇しくも今大会サッカーの決勝戦は、男子が対韓国、女子が対DPRK(北朝鮮)となった。韓国は北朝鮮にフェアプレイでお手本を示せるだろうか、北朝鮮のリベンジを受ける女子チームはさらに熾烈な戦いになるだろう。

| 23.10.06

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