trendseye

ジェンダーレストイレ

4月14日に新宿ミラノ座跡地に超高層複合施設「東急歌舞伎町タワー」がオープンした。これで、2015年に新宿コマ劇場跡地の「東宝ビル&ホテルグレイスリー新宿」に続き、新宿歌舞伎町の2大再開発事業が完成したことになる。今回は特に「ジェンダーレストイレ」が新時代への挑戦として話題を呼んでいる。
1階から5階はエンターテイメント&レストラン、6階から8階はシアターホール、9階から10階は映画館「109シネマズプレミアム新宿」、17階から47階は日本初上陸の2つのブランドホテル「BELLUSTAR TOKYO」と「HOTEL GROOVE SHINJUKU」だ。タワー内には深夜や早朝営業しているエリアもあることから、“夜通し遊んでそのまま泊まれる”ということか?話題のトイレは2階にある。
男性用/女性用という既存のトイレの概念を捨て、(男性用)小便器と(男性用)個室、(女性用)個室、(ジェンダーレス用)個室、(多目的用)個室が1つの空間に並ぶ。背後にLGBTQのメッカ新宿2丁目が控える場所で、時代に先駆けた試みかと思いきや、「女性トイレが無い!」と女性からのブーイングが相次いでいるそうだ。
ちなみに2階は全国のソウルフードが提供されるエンターテインメントフードホール「新宿カブキhall~歌舞伎横丁」で、早朝まで営業する。深夜から早朝にかけての時間帯だけは流石にトイレに電子錠でロックがかかり、飲食店利用者だけに配布されるカードキーが必要だが、隙間のない完全な個室が並ぶのは異様だ。
国連の持続可能な開発目標(SDGs)の理念を掲げても、警備員による巡回や防犯カメラの運用が不充分なら安全面に不安を感じるだろう。渋谷区でも3月に「THE TOKYO TOILET」運動の一環で、「女性専用トイレから共用トイレへ!」をテーマにして物議を醸している。肝心の“安全な”女性用トイレが無いと感じさせるのだ。
「LGBTQ」を受け入れるとなった時、常識があると思われていた自治体や大企業がなぜこんなにも極端な行為に走るのだろうか?「LGBTQ+」コミュニティへのサポートが先進的なニューヨーク市では、施設を細分化するのではなく「家庭と同じように皆が自然に同じトイレを使う」という状況を増やそうと努力している。
オープン間もなく「東急歌舞伎町タワー」の「ジェンダーレストイレ」の表記がただの「トイレ」に変更されたと聞く。
日本人の状況俯瞰能力のなさがここにも表れてしまったようだ。

| 23.05.12

CATEGORY

  • BOOM
  • FOOD&RESTAURANT
  • LIVING&INTERIOR
  • SCIENCE&TECH
  • TRAVEL
  • TREND SPACE

ARCHIVES


1990年9月~2006年7月までの
TRENDS EYEの閲覧をご希望の方は
こちらへお問い合わせください。
ART BOX CORP.