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ザ・MAKANAI

Netflixのドラマ『THE MAKANAI: COOKING FOR THE MAIKO HOUSE (舞妓さんちのまかないさん)』が、1月12日に全世界で配信され高評価を得ている。原作は週刊少年サンデーで連載中の小山愛子による同名の人気コミック「舞妓さんちのまかないさん」で、海外でも知名度が高い是枝裕和監督の脚本・演出で実写化された。
舞台は京都の花街で、主人公のキヨは親友と共に舞妓を目指して青森から京都にやってきたものの、あるきっかけで舞妓が共同生活を送る置屋で食事を作る「まかないさん」になるという話だ。花街の日常や食を通じた友情がキヨを通して描かれる。海外での人気の理由だが、花街の風習や決まり事、実在する京都の街角の八百屋や豆腐屋が登場するなど、日本人にとってもハードルが高い花街の実態に迫っている点だそうだ。英紙ガーディアンのレビューでは「見逃すには惜しいかなり素敵な作品」と絶賛され、「現代のおとぎ話、空腹では絶対見てはいけない楽しい日本の食べ物と友情ドラマ」と見出しがついている。
この作品、実はアニメ化されて2021年2月からは「NHKワールド JAPAN」で、2022年4月からはEテレでも放送されていたようだが、なんと言っても今回は実写のインパクトが強かったということだろう。
舞妓と言えば日本の「伝統文化」とされているが、昨年6月、京都先斗町の元舞妓がTwitterで自身が受けたセクハラや未成年飲酒といった問題を告発し物議を醸した。それ以来きれいごとばかりではない裏があることも有名になった。“舞妓の早食い” という言葉があるように、現実には接待の合間をみて一気に食事をかき込むことなどは日常茶飯事なのだ。置屋ごとに舞妓の境遇は異なるが、 2005年に全世界公開されたハリウッド映画「SAYURI」で作られた日本の花街への負のイメージに関しては、この「舞妓さんちのまかないさん」でかなり払拭されたのではないだろうか。
是枝監督はドラマの中で、原作にはない主人公キヨの親友の父親を登場させている。娘を心配して娘が暮らす置屋にやって来るシーンには、「花街を治外法権的ファンタジックなユートピアとしては描かない」という監督の強い意志も垣間見えた。
「伝統文化」だからこそ、花街で働く人たちは法律で保護されるべきだろう。一方、ドラマの中で美味しい食事を通して舞妓さんを守る主人公のキヨは、まさに法律を超える「守り神」に見える。

| 23.02.17

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