trendseye

ドンキテレビ

ドン・キホーテが2021年12月に発売したTVチューナー非搭載スマートテレビ、通称「ドンキテレビ」がここへ来て大きく注目されている。「ドンキがNHKを潰しにきた」と話題になった商品だ。
「ドンキテレビ」誕生のきっかけは、2021年7月発売のAndroid TVだけを搭載したソニーの業務用4K液晶ディスプレイだったそうだ。ドンキではこれに直ぐに反応して「テレビのようでテレビじゃない!!」をうたい文句に、TVチューナー非搭載の24型を税込21,780円、42型を同32,780円と破格の値段で売り出した。計6000台をわずか1カ月で完売、さらに大きなサイズを含めた新商品も本日19日発売予定、すでに予約を受け付けている。
アイリスオーヤマと同じ日用品を扱う「ドウシシャ」もTVチューナー非搭載スマートテレビORION(オリオン)を、今年設立されたばかりのベンチャー「Smart TV社」も43V型4Kスマートテレビを発売するなど、複数メーカーがドンキに追随している。
また世界のテレビ業界は、TVチューナー搭載型からネット動画対応のチューナーレステレビに急速に移行している。日本の大手家電メーカーは放送局に忖度してか、またしても乗り遅れている。
一方TVチューナーのある世帯に受信契約を義務付けているNHKだが、2020年度末時点でのテレビ普及世帯4650万件に対し支払世帯数3703万件と、支払率は80%にまで減少している。
苦境の中、移動体向けワンセグ搭載のスマートフォンやカーナビ、パソコンについても受信契約の対象だと主張するが、受信料徴収をますます複雑困難にしているようだ。また「NHKプラス」でコンテンツのネット配信サービスを拡充し社会的役割を検証するというが、一律徴収の受信料とどう整合させるのだろうか?
ドイツの公共放送(ARD・ZDF)やイギリスのBBCも、テレビだけでなくPCを含む情報家電を有する家庭を受信料徴収の対象としているが、今年設立100年となるBBCですら一律徴収型の受信料制度は難しいと見て見直しを始めているのが現実だ。
NHKは公共放送としての社会的役割があるといいながら、8月3日に開会された参院選後初の第209回臨時国会を理由もなく中継しなかった。これだけ世間を騒がせている旧統一教会問題もほとんど報道していない。
集団の受信料ボイコットを恐れていると言われるが、これでは「ドンキテレビ」が本当にNHKを駆逐してしまうだろう。

| 22.08.19

CATEGORY

  • BOOM
  • FOOD&RESTAURANT
  • LIVING&INTERIOR
  • SCIENCE&TECH
  • TRAVEL
  • TREND SPACE

ARCHIVES


1990年9月~2006年7月までの
TRENDS EYEの閲覧をご希望の方は
こちらへお問い合わせください。
ART BOX CORP.