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焼き芋

熱狂的なサツマイモファン・焼き芋好きが集まるグルメイベント「さつまいも博」は2020年に第1回目が開催され、4日間で約5万人もの入場者を集めた。2021年はコロナ禍で開催が見送られたが、2022年は厳重なコロナ対策を施して2月23日から5日間開催され、約3万人の入場者を集めている。
来る8月16日から18日には、さいたまスーパーアリーナで「夏のさつまいも博2022」として今年2回目が開催されるとのこと。
サツマイモは日本全国どんな場所でも、どのような条件の土でも育てることができるポテンシャルの高い作物だ。食材としては準完全栄養食と言えるほどの高い栄養価を誇り、生産者に一番近いスイーツとしても注目されている。
大手コンビニ3社は「焼き芋」を年間商品化しており、今年の春夏シーズンはさらに“冷やし焼き芋”を強化。セブン-イレブンは焼き芋半分を冷やした「冷たく食べる焼き芋」を発売、ファミリーマートはスイーツ感覚の「みつあま焼き芋」を、ローソンは自社農園を共同で経営する芝山農園の開発商品「寝た芋」をそれぞれ販売している。コンビニの焼き芋を冷やして食べる文化?は一気に広がり定着する勢いだ。
食品スーパーのマルエツやドン・キホーテなどのチェーン店でも、積極的に電気式焼き芋オーブンを導入して焼き芋ブームの形成に大きな役割を果たしている。かつては冬の商品だった焼き芋が季節に関係なく売れるようになったようだ。
今まではどこのどんな品種でも「焼き芋」でしかなかったが、昨今は焼き芋専門店に行くと幾つもの品種が並んで売られている。八百屋の店頭でも品種による味や食感の違いがホクホク系やねっとり系と差別化されて、家庭でのサツマイモの食べ方を広げたようだ。
一方日本の焼き芋ブームは海外にも伝播し、特に品種を選んで加工した焼き芋の人気が高い。財務省の「貿易統計」によると、2020年のサツマイモの輸出実績は約5,270トンと2009年の10倍以上に増えている。内訳は香港が2,710トン(構成比51%)、タイが1,140トン(22%)、シンガポール920トン(17%)、台湾190トン(3.6%)となる。特にここ数年はシンガポールとタイへの輸出が急速に伸びているそうだ。
戦中の非常食としてのイメージが今も残るサツマイモだが、食糧自給率を少しでもあげるためにも焼き芋ブームは有効だ。日本に向いた農作物は戦略的にも増産すべきだろう。有事があってからでは遅いのだ。

| 22.07.22

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