愛国語
「冬季オリンピック 北京2022」(第二十四届冬季奥会)は2月4日スタート、開催は目前だ。春節(今年は2月1日から)と重なりさぞ盛り上がっているだろうと思いきや、西側諸国の外交的ボイコットと中国各都市のコロナ対策による強烈な都市封鎖などの逆風にさらされ、今ひとつ盛り上がりに欠ける。
2008年の北京夏季五輪では、中国は世界一の国に上り詰めようという凄い気迫を見せていた。英語の普及イコール国際化であると言わんばかりに、国中が英語学習熱で盛り上がっていたものだ。今回盛り上がらないのはコロナ対策の影響というより「愛国語」政策が国是として浸透、「脱英語化と中国語重視」が過ぎた結果ではないだろうか。
2017年8月に公布された「企業名称禁限用規則」により、「企業名は国家基準に準拠した漢字を使用する必要があり、外国語、外国文字、アラビア数字は使用できない」と規定された。2021年3月発効の「企業名称登記管理規定」でも「企業名は標準漢字を使用するものとする」と明記されている。
例えば中国最大の国有通信会社中国電信(チャイナ・テレコム)の営業所が北京の大型商業施設「建外SOHO」にあるが、その名称が「建外SOHO営業庁」から「建外捜候営業庁」に変更された。最大動画サイト「TikTok」の開発運営会社ByteDance社は「字節躍動」と表記され、中国本土版「抖音短視頻」と国際版「TikTok」の2種類を運営する。このような「愛国語」の推進がますます強められているのだ。
言語教育においても昨年の全人代開催と同時期に、「義務教育段階での英語など外国語教科を語文(中国語)や数学などと同等の主要教科から外し、音楽、体育、美術の三小科など情操教育教科の比率を増加させよ」、「英語など外国語を大学入試科目から除外し、義務教育段階での外国語民間試験の受験を禁止せよ」と強引な提言がされている。
80年前のどこかの国のようだ。中国共産党の過剰とも言える米国への対抗心が見え隠れする。
「一つの言語しか話さないのは、巨大な邸宅に住みながら、いつも同じ部屋の中だけに住むようなものだ。他の部屋に入るには鍵がいる。その鍵とは世界の色々な言葉のことなのだ」とは語学学校ベルリッツの創設者Maximilian Berlitzのことばだ。
東京2020開会式での選手団入場は何故か五十音順になっていて混乱した。今回の北京2022の選手団入場はどういう順序になるのだろうか?
興味津々だ。
| 22.01.21