ファーフリー
全世界45ヶ国語で出版されるフランスのファッション誌「エル」は12月2日、プリント、デジタル、SNSを含む全コンテンツで、動物の毛皮を使った商品を誌面や広告で取り扱うことをやめると発表した。
エル・ジャポン編集部でも、40カ国以上における動物保護団体の連合「FFA(毛皮に反対する国際連盟)」のガイドラインに沿って明確に定義された「ファーフリー」ポリシーの採用を決定している。
「ファーフリー」ポリシーは、動物の毛・毛皮のファイバーがついたアニマルスキンや、毛皮のためだけに殺された動物の毛皮の商品の扱いを禁止している。今のところ“動物”には、ミンク、キツネ、ウサギ、コヨーテ、ビーバー、カラクール、チンチラ、セーブル、アライグマ、タヌキなどが該当する。食肉流通の副産物などと考えられる羊の毛皮(シャーリング、シープスキン、ラムスキン)やヤギや牛の毛皮、レザー、ダウンは引き続き許可されるようだ。
近年、毛皮をめぐってグッチなど有名ブランドが相次いで廃止を宣言したことから、「ファーフリー」の動きは急速に広がりを見せている。アルマーニもアンゴラウサギから採取した毛で作られるアンゴラ毛糸の使用をやめた。
こうした運動はレザーにも広がり、エコレザーやフェイクレザーはお手頃価格でカラフルな色を楽しめることもあり、ファッションアイテムとしての面白みが広がっている。
しかしポリウレタン樹脂を使用したPUレザーや、塩化ビニル樹脂を使用したPVCレザーなどで安易に代替するのは、環境保護の観点からはNGだ。
そこに登場したのがキノコを原料としたマッシュルームレザー。シートに胞子を植え付けおがくずや有機物を与えて温度や湿度を管理することで、革のような素材ができるというからユニークだ。
またCHANELは大量に廃棄されるパイナップルの葉を使用した天然素材「ピニャテックス」製の帽子を発売。さまざまなレザー風アイテムが登場しているのは注目に値する。
かつて“フェイク”は偽物と見下されていたが、今はむしろ動物由来という“リアル”から解放され、自由な発想で創造性溢れる素材や食材が次々と生み出されているから面白い。
“リアル”と“フェイク”が交錯する現代社会だが、結局“フェイク”な世界の方が人間は自由になれるということなのか?「メタバース」でフェイクな人生を楽しむ時代がすぐそこまで来ている!?
| 21.12.17