ドラえもんコラボ
2021年に創設100周年を迎えた「グッチ」が、日本が誇る国民的キャラクター「ドラえもん」と組んだ特別なコラボレーションモデルを発表し話題を集めている。
グッチのクリエイティブ・ディレクターアレッサンドロ・ミケーレは、ラグジュアリーとポップカルチャーが融合した遊び心あふれるコレクションを狙ったと語る。
またスペインの老舗ブランドロエベも、スタジオジブリと協業した「ロエベ×となりのトトロ」カプセルコレクションを今年1月に発売。デザイナーのジョナサン・アンダーソンは、両者に共通する「手仕事への愛」と「自然との調和」が軸にあると語っている。
コラボという手法は実は非常に魅力的な難局打開の魔法である。ヨーロッパの老舗ブランドは飽和感が出てきていた主力の中国マーケットを攻略するために日本のカルチャーを利用しただけだ、と考えるとわかりやすい。
グッチもロエベも、ユニクロでさえも、見ているのは躍進する中国とアセアン20億人マーケットであり日本ではない。そのアジアで最も知られている最強キャラクター「ドラえもん」を使っただけで、日本のためにコラボしたのではない。
産業構造の変化に気付かない日本政府は、過去30年で相対的にどれだけ日本を貧しくしてきたのだろうか?日本のお家芸であった自動車や家電製品は、今や裾野産業のほとんどが買収されたか現地生産となり、日本は結果GDPで中国に抜かれた。
米国在住作家の冷泉彰彦は、日本は「課題先進国」として他国の先を行き、「衰退途上国」として縮小する経済に直面しているとその困難さを語るが、今や何をやっても裏目に出て停滞する日本を言い得て妙である。
超高齢化社会、少子化による急激な人口減少、それに伴うシルバー民主主義の台頭など、他の国がまだ直面していない問題を真っ先に抱えてしまった「課題先進国」日本は、その未体験ゾーンで右往左往している。
課題を解決する日本の姿をオリンピック開催で世界に示す!というのが政府のシナリオだったようだが、公平になり過ぎた日本の意志決定機能では何も決められず、現段階においては醜態をさらす可能性の方が高そうだ。
日本のポップアイコンとして世界、特にアジアで圧倒的人気を集めるドラえもん、未来からやってきたネコ型ロボットは、四次元ポケットからさまざまな“ひみつ道具”を取り出して少年のび太のピンチを救うストーリーで世界を夢中にさせてきた。
日本政府と東京都こそ、「ドラえもんコラボ」に助けを求めてはどうだろうか?
| 21.05.14