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火星へ

火星を目指した米国、アラブ首長国連邦(UAE)、中国3カ国の新たな探査機が、今月火星の周回軌道に乗り入れた。既に軌道上で活動中の米国、欧州、インドの合計8機にこの3機が加わって開発競争状態だ。
火星が2年2カ月ごとに地球に接近することから、3カ国の探査機は飛行距離が最短になる昨年7月の約10日の間に相次いで打ち上げられ、ほぼ同時に火星の軌道に入ることに成功している。
米航空宇宙局(NASA)による火星探査車「パーサヴィアランス(忍耐)」は、日本時間2月19日午前5時55分に、あらかじめ組まれていたプログラムに従って一足先に火星の赤道付近に降り立った。
アラブ首長国連邦(UAE)の宇宙探査機「アル・アマル(英名:HOPE)」は、建国50周年を記念して日本のH2Aロケットで種子島から火星へ送り込まれ、日本時間2月10日未明に火星の周回軌道に入っている。
中国政府も「天問1号」が2月10日夜に火星の周回軌道に入ったと発表。通信時差が20分もある中、2-3カ月かけて自力で着陸地点を探すという、米国より高度な着陸方法を狙っている。
残念ながら日本は1998年7月4日に「のぞみ」を打ち上げたものの、火星の周回軌道に乗せることに失敗している。
太陽系の水星、金星、地球、火星の4つの惑星は太陽から約47億年前にほぼ同時に生まれ、鉄を主成分とする似通った土壌成分を持つ兄弟惑星だ。火星の直径は地球の2分の1ながら自転は24時間40分で、大気成分も7億年前は地球に近く最も似た自然環境だったようだ。そのため火星は地球外生命の痕跡を最も期待させる。
人類は人口が50億人を超えたあたりから地球環境の悪化を感じるようになり、将来移住できる星を探し始めた。大航海時代のスペイン、ポルトガルの新大陸発見競争の記憶がよみがえってくる。100年後には火星に地球人のコロニーができるのだろうか。火星までの飛行時間は現状では約半年と、大航海時代の新大陸までの距離感と変わらないが、直ぐに短縮されるだろう。
今、地球上ではクウェートが国民が必要とする水を全量日本製の海水淡水化装置で作り出している。空気汚染が進むニューデリー中心部が空気を二酸化炭素から作り出すドームシティになったとしても不思議はない。
トヨタは今月、静岡県裾野市に未来都市「ウーブンシティ」を着工したと発表する中、テスラのイーロン・マスクは2050年までに火星に100万人が住むコロニーを作ると豪語している。
両者の時価総額の違いは、自社の車が走る理想とする未来都市の「場所」と「スケール」の違いだろう。

| 21.02.26

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