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ガンプラ

2020年はガンダムシリーズのプラモデル「ガンプラ」発売から40周年の記念の年だった。12月19日には実物大の「ガンプラ」が動く「GUNDAM FACTORY YOKOHAMA」が横浜山下埠頭にオープンし、アジアのファンからも熱いエールが送られた。横浜が正に「ガンプラ」の聖地になった日だ。
今まで「ガンプラ」の聖地は物販中心の「THE GUNDAM BASE」だった。「ガンプラ」の拡大を目的に、オフィシャルショップとしてバンダイコリアが2003年にソウルに1号店を出店して以来、韓国に9店舗、2005年から台湾に2店舗、2017年になってやっと東京の出店に至る。その後2018年に上海、2019年に博多に出店しているが、現在全15店舗のうち日本国内にはわずか2店舗なのだ。ヨーロッパでも「ガンプラ」人気は高く、2020年7月末にはパリRepublic広場近くに、バンダイナムコと地元企業が「バンダイホビーストア」をオープンさせている。
1980年代初頭から特にアジアでガンダムシリーズは根強い人気を誇ってきた。昨年4月には「ガンプラ」の累計出荷数が5億個を突破し、韓国を中心に日本以外で年間販売額の5割を占めるようになった。
一方ガンダムが設置された横浜山下埠頭は地元港運協会が本拠地としている場所であり、IRカジノを誘致したい政府と市が誘致に反対している協会と開発をめぐってぶつかり合うという、話題には事欠かない場所だ。
ところで横浜の実物大「動くガンプラ」は高さ18m、横幅およそ7m、奥行き約5m、重量は約25tと迫力あるサイズだ。各パーツを動かしながら毎時「発進演出」(約8分)、毎時30分に「格納演出」(約5分)が行われる。そしてシーズン毎にひざまずいたりする「特別演出」も企画されている。
そもそも「ガンプラ」の魅力は、アニメーションでは描ききれないスケール感やディテールを製作過程で追求していける点だ。それが日本のモノづくりの根底に知らないうちに浸透し影響を与えている。最近の日本の鉄道新型車両やSUV車がガンダムフェースなのは、最先端で働くデザイナーや技術者がガンダム世代であることが少なからず影響しているようだ。
コンテナヤードとして日本の高度成長を支えてきた横浜山下埠頭がカジノ誘致をめぐって政治の暗闘の舞台となっている中、実物大「ガンプラ」が地元横浜を外資系カジノオペレーターから守る大魔神のように立ちはだかって見えるのは偶然ではないだろう。
「ガンプラ」の聖地山下埠頭は、同時に横浜港を守る鎮守の森として新しい役割を果たしていくのだろうか。

| 21.01.22

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