コネクト@チャンギ
新型コロナウイルス禍は変異株が登場し、多くの国で更なるロックダウンや居住エリアを超えた移動の制限がレベルアップ、特に海外からの入国管理については鎖国かと思わせるような厳格化が図られている。このように後ろ向きな世界情勢にあって、シンガポール政府は前向きな対応を提案して注目されている。
それは入国者全員がPCR検査で例え陰性であっても保菌者であるという前提に立って、必要とされる最大14日間の隔離を厳格化する一方、各地施設内でストレスフリーの快適なビジネス環境を積極的に提供しようとするものだ。
施設名は「Connect@Changi」。政府系投資会社のテマセク・ホールディングスが全額出資し、完全非接触型会議室を擁するホテルアコモデーションをチャンギ国際空港近くのシンガポールエクスポ&マックスアトリア内に開発する。運営は高級ホテルのザ・アスコットとチャンギ・エアポート・グループ、シアーズ・ヘルスケア・グループなどに委託、開業準備も大詰めだ。
このホテルの登場で、シンガポール入国時の14日間の隔離が厳しい我慢の時間からビジネスマンにとって快適で有効な時間になることが期待される。最先端の非接触技術で厳しい隔離はするが、健康的日常生活を保ちビジネスのお邪魔はしませんというわけだ。
会議室はガラスシールドされ完全な独立空調、国内の参加者は海外からのビジネス相手と直接接することなく、通常に近いFace to Face の会議ができる。しかもこのホテルを利用する入国者は、入国審査時から特別扱いで導線が分けられ、空港からホテルまで特別仕様の専用送迎車で迅速にストレスなくチェックインできるとのことだ。
食事や送迎込みで1人1泊400シンガポールドル(約3万円)前後と決して安くはないが、それが苦にならないぐらいのビジネスメリットの提供を目指している。
2021年2月には、670室以上のプレミアムゲストルームと、4人から22人までの様々な会議に対応できる170会議室での開業を予定している。それがうまくいけば、上期中に客室1300室、会議室340室の規模にまで拡大するらしい。
感染拡大でネガティブな守りの施策ばかり目につく日本だが、比べものにならない程厳しい隔離を行いながらも積極的攻めに転じるシンガポール政府の姿勢には学ぶことが多そうだ。
このような非接触型ホテルアコモデーションはこれからの高級ビジネスシーンにとって無くてはならないものになるだろう。「Connect@Changi」は、コロナ鎖国時代の「新・出島」ビジネスモデルだ。
| 21.01.15