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ソロキャンプ

「ソロキャンプ」という一人でするキャンプがブームだそうだ。「ヒロシです」のフレーズで大ブレークしたピン芸人ヒロシが、YouTubeの「ヒロシちゃんねる」で自ら撮影、編集した「ソロキャンプ」動画をアップしている。家族や友達とワイワイやるものだと思っていたキャンプのイメージが変わった。
8月に出版された「ヒロシのソロキャンプ」(学研プラス)は既に3刷まで決定しているそうだ。新型コロナウイルスの感染拡大で「群れる」ことへの疑問が広がっている?
ヒロシはこの本の後書きで、「みんなで」という言葉から解放され、「ソロキャンプ」で自然体の自分を取り戻したと語っている。
ソーシャルディスタンスが求められるアフターコロナ社会で、群れない「ソロスタイル」が改めて注目され、就職や結婚や住宅探しなどさまざまな局面で、個人が居心地よく生きるための「ソロ」の選択が時代の流れを作り始めているようだ。
「ソロ」は決して孤独を意味しない。まずは自分自身で考え相手の「ソロ」も尊重することで、『お互い様』という新たなソサエティが生まれている。
短い夏休みも終わり、小中学校の登校が再開されたが、大学は対面授業の解禁に慎重だ。感染の収束が見通せない中、秋からの新学期も授業のオンライン化を模索する大学は多く、東京大学では既に2021年度以降も遠隔授業の計画的な導入を検討しているそうだ。
オンラインコミュニティー作りで「リテラシー格差」が浮き彫りになる一方、リモートのおかげで「同調圧力」が減ったことで個人の自立現象も表れてきている。対面では体や声が大きい人の前で萎縮してしまうが、リモートだとしっかり発言できるというのだ。
これまでの日本社会では、周りに自分を合わせないとつまはじきにされるという恐怖心が常に存在していた。同調することを優先し、カラオケや呑み会も自分が行きたいというより「付き合い」と割り切っていたのかも知れない。「ソロ」が基本のリモート社会は「付き合い」からくる不要なストレスを減らし、若いスタッフも発言しやすくなった。
ところが驚くべき反動現象も起きている。なんと、Zoomがリモート会議参加者の並び方に「上座」を設けたのだ。「上座」は画面が大きい。画面上で平等になることをよしとしないクライアントがまだまだいるというのか!?
党員の声を幅広く聞くことをよしとしない日本の派閥政治にも、Zoom画面の上座発想と同質なものを感じる。イノベーションには、派閥への同調圧力を跳ね除ける「ソロ」力を持つリーダーが必要だ。

| 20.09.04

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