ミラーワールド
第5世代移動通信(5G)の商用サービスが日本でもスタートした。米国、韓国、中国に一年近く遅れをとってのスタートだ。
アメリカでは昨年4月9日にサービスを開始。韓国が何と米国がスタートする1時間前にサービスインし、「世界初」と強引に主張したことでも話題になった。
Huaweiを巡って米中貿易戦争真っ只中の中国も、11月1日に中国移動、中国聯通、中国電信の3大通信事業者でサービスインし追い上げている。
この三国は、遠隔医療を始め、AI(人工知能)、AR(拡張現実)などのために大量データを瞬時に伝送できる5Gの経済効果を見据えて、国策として多額の補助金を注ぎ込んで来た。日本政府が国策支援することを躊躇している隙に!?
しかも中国は5Gをスタートさせた数日後には、6Gの研究を開始したと公表。6Gの実用化は、現実の世界全てをデータ化するミラーワールド(鏡像世界)の実現を意味するものだ。
リアルワールド(現実世界)のすべてが1対1でデジタル画像化され、リアルワールドにあるすべての物や場所が実物大のデジタルコンテンツ化される世界。
ミラーワールドの実現は、ウェブ、SNSに続く次世代の巨大デジタルプラットフォームの提供と、膨大なIT事業の可能性を示唆している。デジタルワールドはリアルワールドとは一線を画していると思われていただけに、そのインパクトは強大だ。
5Gサービスによりデジタルとリアルの間に様々な懸け橋ができ、両者の間は急速に縮まることになる。不完全ながら4Gでも「Ingress」や「Pokemon GO」で、AR(拡張現実)を使って、プレーヤーがリアルワールドを走り回りながらデジタルワールド上でゲームをすることが可能になっている。
リアルワールドに埋め込まれたIoTデバイスが、リアルワールド情報をデジタルワールドに継続的に転送し、二つの世界を限りなくマージしていく。5Gではオンデマンドのミラーリングも、6Gではリアルタイムになると予想される。
やがて超現実のミラーワールドで何でもできる時代がやってくる。例えば、ミラーワールドでは実際に旅することなく、世界遺産、さらには非現実的な深海や月面も手で触れるようにディテールまで体験でき、正に映画「トータルリコール」の世界が現実になるだろう。
4Gの覇者ビル・ゲーツが、20年も前から世界の名画を高精細度デジタルカメラでアーカイブしていた意味を、世界はやっと知ることになる。
彼にはミラーワールドの登場が以前から見えていたのだろうか?
| 20.04.03