trendseye

テレワーク・オリンピック2020

2月25日、広告代理店電通の東京本社勤務の社員に新型コロナウイルスの陽性反応が確認された。翌日、電通は全社員5000人を出勤させずテレワーク勤務に移行すると発表した。
1月後半に、いち早く「全社員の在宅勤務」を発表したのはGMOインターネットグループだったが、電通の決断はその規模故に衝撃が走った。資生堂、メルカリ、日本たばこ、双日、東京都がこれに続き、テレワーク勤務はあっという間に広がった。
厚生労働省が「不要不急の外出を控え、人混みに行くのは止めてほしい」と呼びかけた結果、最も危険度が高いのが「満員電車での朝の通勤」だということに多くの企業が気づき始めたのだ。
テレワークとは、ITを利用した場所や時間にとらわれない柔軟な働き方のことだ。働く場所によって、自宅利用型テレワーク(在宅勤務)、モバイルワーク、施設利用型テレワーク(サテライトオフィス勤務など)の3つに分けられる。今回は、非常時対策として半強制的「在宅勤務」が実施されたのだ。
オリンピックの開催は未だに危ぶまれているが、IOCの出す結論にビクビクするよりも、先駆けて日本からテレワークによる「デジタル・オリンピック2020」を仕掛けてみてはどうだろうか。
全ての競技を無観客化した上で、選手には徹底した健康管理を義務付けて事前検査での陰性を条件に出場させる。観客の代わりにTVカメラの台数を増やし、全て8K化して送信用通信網も5Gを前提とする。8Kテレビの政府主導販売キャンペーンを張り、人々は払い戻されたチケット代で最新の映像技術による臨場感あふれる素晴らしいオリンピックを自宅で観戦する。TV購入によってGDPの下振れも防ぎ、一挙両得だ。
学校教育の現場も、休校ではなくテレワーク授業の実験という考え方に移行してはどうだろう?給食もデリバリーで継続する。
平成29年度テレワーク人口調査で、政府が掲げるテレワークの目標は2020年に15.4%だったようだが、これを一気に50%超にすれば世界最先端の普及率となるチャンスだ。
2012年、ロンドン五輪による交通の混雑を避けるため、ロンドン市内の企業の約8割がテレワークを導入したのを受け、総務省も東京大会の開会式にあたる7月24日を「テレワーク・デイ」とすべく推進してきた。想定外のコロナ騒動をきっかけに業務を根本からガラッと見直すことで、その日を待たずに日本を世界最先端のテレワーク国家に変貌させる。
新型コロナウイルス禍は、これまで未経験の深刻な問題であるが、平時では中々できなかった日本社会の急速な構造変革を実現させる “黒船”として大いに利用してはどうだろう。

| 20.03.06

CATEGORY

  • BOOM
  • FOOD&RESTAURANT
  • LIVING&INTERIOR
  • SCIENCE&TECH
  • TRAVEL
  • TREND SPACE

ARCHIVES


1990年9月~2006年7月までの
TRENDS EYEの閲覧をご希望の方は
こちらへお問い合わせください。
ART BOX CORP.