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世界の平和

天皇陛下は10月22日の即位礼正殿の儀のお言葉で「国民の幸せと世界の平和を願われるお気持ち」を強く示されたが、特に「世界の平和」については特別の思いを寄せておられる。
先に行われた5月1日の「即位後朝見の儀」でも、「自己の研鑽に励むとともに、常に国民を思い、国民に寄り添いながら、憲法にのっとり、日本国及び日本国民統合の象徴としての責務を果たすことを誓い、国民の幸せと国の一層の発展、そして世界の平和を切に希望します」と世界平和への強い思いを示されていた。
しかし、天皇がお言葉の中で「世界の平和」を強調されればされるほど、現在の日本政府の姿勢はお気持ちと乖離していると感じる。
即位関連の行事については海外のメディアでも数多く報道され、日本の天皇のお言葉への関心の高さがうかがわれる。中でも現在微妙な関係にある韓国では、ニュース専門チャンネルYTN(Yes! Top News)、聯合テレビともに日本専門家を交えて儀式を生中継し、天皇陛下の「世界平和を願う」という部分に戦争への反省の意味がにじむ、という視点で番組が編成されていたのが印象に残る。
平和学の最高権威、ヨハン・ガルトゥング博士(ノルウェー出身https://www.galtung-institut.de/en/home/johan-galtung/ )が来日、日本政府の平和への取り組みについての矛盾を分かりやすく指摘したのは4年前の2015年8月だ。
横浜市の大さん橋ホールで行われた講演には、学生をはじめ約500人が集った。被爆国である日本が今後どうやって世界の平和に貢献していくべきなのかについて、2組の若者代表が真摯な思いをスピーチした後、ガルトゥング博士が穏やかな口調で語り始めた。「残念ながら、現在の日本は、世界平和に貢献することはできません」と…
理由は、「外交・軍事政策がアメリカの意向で決まり、日本が自分で決定できていないから」というものだった。「米国が日本の憲法9条の廃止と軍拡を期待するのは、北大西洋条約機構(NATO)の国々と日本が軍事政策で一致していないためだ。そこで、米国はイエスマンの日本を使って、テロ対策でも日本とスクラムを組もうとしている」と博士は続けた。
要するに、「米国のいう世界平和は自国の勝利であって、日本人が漠然と考えている世界平和ではない。日本が本当の世界平和を希求するのならば、米国の支配から脱して自立した決定をしなくてはならない」と明確に指摘したのだ。
今月、あらゆる政治勢力から自立して「世界の平和」をうたうローマ教皇が38年ぶりに来日する。韓国とのGSOMIAの協定失効が決定的になる日に、教皇は何を日本国民に訴えるのであろうか?

| 19.11.22

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