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山火事停電

ブラジルのアマゾン森林火災が落ち着いたと思ったら、先月はカリフォルニア州各地で山火事が相次いだ。
中でも最大規模はカリフォルニア・ワインの産地として知られるソノマから州北部で起こった「キンケイド・ファイヤー」で、炎がブドウ畑を覆い一時30万人という住人が自宅から避難したそうだ。
ロサンゼルス、ブレントウッド地区の「ゲティー・ファイアー」は、ビバリーヒルズ近郊の高級住宅地を襲った。有名人の豪邸も数多く被害に遭い、今週来日した元カリフォルニア州知事で俳優のアーノルド・シュワルツェネッガーも、深夜避難に追い込まれたと語っていた。
これら山火事の原因はこの季節乾燥するカルフォルニアの気候に加え、昨今の温暖化の影響で海水温が下がらないことで、小さな自然発火でも温かく乾燥した風に煽られ瞬く間に大きな山火事へと発展してしまうらしい。
一方、昨年のサンフランシスコの山火事は米電力大手PG&Eの送電線トランスのショートが原因、とされたことも大きな問題を招いた。同社は先月、森林火災予防対策として過去最大規模の計画停電を実施し、80万世帯が停電したのだ。
なぜ計画停電が山火事防止に有効なのか?民営化されたPG&Eのインフラは古いまま放置され変電設備がショートする。使わなければショートしない!?という信じられない理論だ。
世界有数の富裕層が集まるカリフォルニアのワイン地帯が、気候変動の影響とインフラの劣化で現代文明の象徴である電力を失うことになったのだ。
戦後のベビーブーミングで大いに繁栄したカリフォルニアはアメリカの富の象徴だった。しかし70年間無策でいた結果、電力供給網は劣化し末期的な状態であることが露見した。
PG&Eは電力事業を効率化するために民営化されたが、森林火災の火元が古い変電施設のショートだと特定されたことで、損害賠償や罰金に備え計140億ドルの費用を引き当てた。これが災いして今年1月に米連邦破産法11条を申請し、経営破綻に追い込まれていた。
ところで、去年のギャラップの調査を分析すると、アメリカ社会の若者に新たな現象が起きている。18〜29歳の若者世代では「社会主義に好意的」と答えた人が51%にのぼり、資本主義の45%を上回ったのだ。( https://news.gallup.com/poll/240725/democrats-positive-socialism-capitalism.aspx )
民主党左派系のカリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は、PG&Eの失敗を「資本主義の貪欲さが気候変動と組み合わさった結果だ」と非難している。
来年は米国の大統領選挙だが、カリフォルニア州の山火事は思わぬ方向に飛び火している。

| 19.11.08

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