出生率
10月からの消費増税の理由の一つだった「人づくり」のための新たな政策、「幼児教育・保育の無償化」が始まった。
しかし子育て世帯にとっては「人づくり」のためと言いながら、そもそも文部科学省が全てを管理するのではなく、保育園は厚生労働省が管理・運営している体制に違和感を覚える人は多く、選挙前に急ごしらえで作った少子化対策の制度設計にはビジョンがまったく見えない。
厚生労働省が発表した人口動態統計によれば、今年の出生数が90万人割れする可能性が高く、予想よりも少子化のスピードが加速しているらしい。
国連の幸福度ランキングで2年連続トップを維持し、これまでも高福祉の国として子育て政策には力を入れてきた北欧のフィンランドも、急速な出生率の低下に頭を悩ませていると聞く。
フィンランドの出生率は2010年の1.8から、10年で日本と同等の1.4近くまで急速に低下した。子供を持つことより個人としての幸せを追求する人が増え、特に自分の人生を子供に左右されたくないと『母親』以外の選択肢をとる女性が増えているのではないかと言われている。しかも総人口が550万人と少ない国でだ。
一方、六大陸の中でアフリカの出生率は平均4.0から7.0へと高く推移している( https://www.globalnote.jp/post-3758.htm )。 近代化がいまだ遅れており、アフリカの社会は子供の労働力なくして成り立たないからだ。
アフリカの現状を放置すると人口が突出して、2050年には世界人口が100億人を超えることが確実視されている。
対照的に日本の出生率の1.43に対し、さらにシンガポールは1.16と低く、台湾と香港に至っては1.13。そして世界最低の出生率は韓国の1.05だ。
しかし、出生率が低くても人口が伸びている国もある。適切に移民を受け入れることで、少子化でも国の人口は伸びることを忘れてはいけない。香港は少ない出生率にも関わらず、過去30年で人口は50%増えている。日本は香港より出生率は高いが、移民受け入れが少ない為に人口は減っている。
G7諸国でも、英国、ドイツ、フランスは白人出生率が低くても、継続的な移民の受け入れと移民出生率の高さで人口は微増している。
移民の受け入れは出生率低下を補い、さらには移民の子によって出生率が上がるという現象がある。米国やフランス、ドイツの高い出生率はこのパターンだ。
子どもを持つことが喜びとなるためには、将来の不安をなくす以上に子供を持つ喜びを社会が応援する必要がある。
移民の受け入れで、人口が増える幸せな先進国はいくつもあるのだ。
| 19.10.25