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JOMO

「Joy of Missing Out」、略して「JOMO」ということばが流行ってきている。常にネットワークに繋がっていないと不安だった時代が過ぎ、むしろ繋がらないことの喜び、繋がらない時間の充実感がネット時代における究極のパーソナライゼーションになるという自虐的現象が起こっているのだ。
SNSの拡大は、プライベートな時間とソーシャルな時間の線引きをあいまいにした。常に何か楽しい気の利いた返信をしなければと重荷に感じる人を増加させ、いつしか義務感で息苦しささえ感じさせるような弊害を引き起こしている。
昨年9月にiPhone のiOS 12に新たに加わった人気の「スクリーンタイム」( https://support.apple.com/ja-jp/HT208982 )は、iPhoneの利用状況を週間でレポートし、アプリごとの利用時間の制限を設定できる機能だ。Webページやアプリの平均閲覧時間が前週よりも減少していると、何故かホッとする。
10代から30代を対象にした「スクリーンタイム」に関するネットリサーチ社の調査結果によると、1日平均利用時間は5時間前後、利用アプリのTOPは10代が「YouTube」、20代と30代では「Safari」という具合だ。
10代はデジタルネイティブと言われる世代で、生まれながらにスマホからあらゆる情報が流れ込んできているため利用の目的意識が薄い。
20代30代のいわゆるミレニアル世代は、SNSが利用アプリ上位にランクインし、圧倒的に「Safari」が支持されている。逆に言えば年齢が上がるほど目的意識を持ってスマホを使っているようだ。
世界人口の5割弱がSNSを利用する時代、英国の国民投票によるEU離脱や、トランプ大統領もSNSによって生まれてきたようなものだ。そこには組織的な世論工作活動の可能性も指摘されており、常にフェイクやジャンクな情報にさらされていることを忘れてはならない。
世の中に存在するあらゆるモノがインターネットに繋がるIOT時代では、ビッグデータと称して人々はその行動が常に監視されることになる。これまで体験したことがないような快適性や利便性、あるいは安心感などを得られる反面、世界はAIという見えない力に操られ、「家畜を育てていたつもりが、気が付けば自分が家畜になっていた!」という笑えない現実に直面することも?
そうしたことへの反動か、米国では2017年の紙の本の売上が5%増え、電子書籍は17%減という興味深いデータが出ている。
5G時代に世界がIOTへ向かう一方で、IT長者の間では子供を「JOMO」で育てるのがトレンドになっているというのだから面白い。
かのスティーブ・ジョブズが幼い自分の子供にはスマホを持たせなかったのも有名な話だ。

| 19.05.17

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