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コナ直行便

2017年秋、長らく中断していたJALのハワイ島コナへの直行便が7年ぶりに再開された。これに先立って2016年の暮れにはハワイアン航空もコナ直行便を再開している。
ハワイ島のコハラコーストは、米国西海岸からプライベートジェットでやってくるウルトラハイエンド層が多く集まる有名なリゾート地なのに、日本からの両フライトにはファーストクラスの設定がない。
この矛盾する現象の裏に、日本のハイエンド層の世界における位置づけが読み取れる。日本でインバウンド観光客が3000万人を超えたと話題になる中、日本の富裕層は世界のリゾートマーケットで、せいぜいビジネスクラスで満足する層だということのようだ。
この事象は、日本の2大鉄道系ディベロッパーが開発したハワイ島での大規模リゾートが、最近時を同じくして人知れずアメリカ資本に売却されていたこととも関連している。
東急グループの「マウナラニ・ベイ・ホテル&バンガローズ」と「フランシス・H・アイ・ブラウン・ゴルフコース」、およびそれに隣接する高級レジデンスのマネージメントは、2017年にカリフォルニアに拠点を置く不動産会社Prospect Hill Group (http://prospecthillgroup.com/ ) に売却された。
西武グループは、60年代にロックフェラー家が開発した有名なマウナケア・リゾートを時の勢いに任せ1990年に買収、1994年には隣接地に「ハプナビーチプリンスホテル」を開発して共にプリンスホテルのフラグシップと位置づけてきた。
しかし堤家の凋落から、2017年にその一部をアメリカの不動産投資会社Angelo Gordon & Co. に売却し、「ザ・ウェスティン・ハプナビーチリゾート」として再スタート、プリンスホテルの名を捨てている。
東急、西武ともにオーナー健在の時にはハワイの王族やロックフェラーと同様にハイエンド市場をターゲットにした開発を行ってきたが、バブル崩壊の後に会社がサラリーマン化する過程で継続開発を諦めたのだ。
2020年の東京オリンピックでは、首都圏にビジネスジェット専用空港がないため選手が乗ってくるプライベートジェットのハンドリングが心配されている。ビジネスジェットでしか移動したことのないウルトラハイエンド層が世界で増殖していることを日本は察知しなければならない。
ウルトラハイエンド対応がないと、オリンピックのみならずIRや国内リゾート開発すら中国やアジアのディベロッパーの後塵を拝してしまうのだ。
北海道ニセコに於ける東急や西武の開発が、正にこれからという時に香港資本とマレーシア資本に買収された現実を肝に命じなければいけないだろう。

| 19.04.19

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