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都市総合力ランキング

今年も森記念財団都市戦略研究所から2018年版GPCI、Global Power City Index (
http://www.mori-m-foundation.or.jp/ius/gpci/ ) が発表された。
世界42都市で「経済/研究開発/文化交流/居住/環境/交通アクセス」の6分野70指標を点数化し総合評価。「より魅力的でクリエイティブな人材や企業を惹きつける磁力が都市には備わっているべき」というのが評価の指針だ。
東京は2018年版でロンドン、ニューヨークに次いで3位をキープ、因みに4位パリ、5位シンガポールだ。この5都市は10年間連続でトップ5を維持している。東京は辛うじて3位だが、トップ2都市に総得点で引き離されつつある。
2016年に東京が総合3位になった時、「経済」は1位、「研究開発」が2位だった。
2017年は総合3位を維持するものの、「経済」はアジアの都市が台頭する中、1位から4位へと順位を落とした。円安誘導による株価維持では「経済」のスコアを伸ばせなかったのだ。
2018年は「経済」で3位に返り咲いたものの、GDP成長率は未だ弱含みである。しかも名目GDPが“水増し?”されたとの疑惑も噴出している。
6分野のスコアを繋ぐレーダーチャートを眺めると、「文化交流」分野でトップと大きく差が開き、「外国人居住者数」、「歴史伝統への接触機会」、「ハイクラスホテル客室数」などの指標でかなりの遅れを取っている。
円安によるドル建て生活費が安く、「買い物目的の中間層旅行者」にとっては魅力的な都市であるが、「都市の総合力」を上げるには「ローエンドの移民政策」や数を頼みにする「観光政策」以外に「ハイエンドの居住者」への政策バランスが大切だと読み取れる。
対策としては「交通・アクセス」の量から質への転換だろう。例えば「国際線直行便就航都市数の少なさ」が指摘されている。特に「ファーストクラス」及び「ビジネスジェット利用者」への便宜がほとんど図られていない点は、東京の構造的弱点といってもいいだろう。
ハワイ語で「その土地に住む人」を「カマアイナ」と言う。旅行者が多いハワイでは、ホテルやゴルフ場などの施設を地元の人にも利用してもらうためにカマアイナ向けの特別割引(差別料金)が設定されている。この制度は「平等」を是とする日本にはない。
東京に必要なのは、カマアイナ的料金設定を気にせず滞在してくれる人たちではないだろうか?ビジネスジェットで来にくい都市、ハイクラスホテルが少ない都市という評価が固まりつつある。
コンビニに溢れかえる海外からの旅行者に消費税を戻している場合ではないだろう。

| 19.03.08

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