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マンガ翻訳

日本の「MANGA」は、いまや世界中で親しまれるようになったが、その立役者はマンガ翻訳者だとつくづく思わされる。
手塚治虫はかつて、「僕にとっての漫画というのは表現手段の符牒にしかすぎなくて、実際には僕は画を描いているんじゃなくて、ある特殊な文字で話を書いているんじゃないかという気がする」と語っていた。
マンガ翻訳者の存在感が以前より高まってきている背景には、日本のマンガ出版社が主催する翻訳コンテストの影響もあるという。「講談社」「小学館」「集英社」「双葉社」「KADOKAWA」など30社以上のマンガ出版社が参加して、マンガ翻訳家を志望する人々にデビューのきっかけを与える翻訳コンテスト『Manga Translation Battle』( https://mtb7.myanimelist.net/ )は、2012年から始まり現在7回目の募集が終わったところだ(9月7日~11月5日)。プロの翻訳家を始めとするオフィシャル審査員による最終審査で、来年1月に今年のマンガ翻訳優秀者が決定する。
今回は、通常のマンガ翻訳コンテストに加え、既にプロとして活躍している翻訳者 8 名が、トーナメント形式でマンガ翻訳の腕を競う「Manga Translation Battle of Professionals」も同時開催している。
いかに翻訳が大切かは、例えば尾田栄一郎著『ONE PIECE』の30カ国語の翻訳版が42以上の国と地域で販売されているのを見てもわかる。2018年7月の時点で、全世界累計発行部数は4億4000万部を突破。英語版のセリフを実際に読んでみると、擬音語や擬態語など日本語特有のダジャレと会話の流れが自然で音も繋がっていて、その見事な翻訳ぶりに驚かされる。
しかも新刊が出る度に翻訳解説をツイートしたり、時に作者の日本語ツイートを翻訳したり、ネット上で作品の背景や作品中の日本文化について解説し、作品そのものの素晴らしさを定期的に語る翻訳者もいるのだとか。愛情たっぷりに自分の言葉で作品を語る翻訳者は、日本と海外の読者を繋ぐ“文化大使”といえるかもしれない。
今年7月にロサンゼルスで開催されたANIMEとMANGAのイベント「Anime Expo 2018」では、マンガ翻訳にコンピュータソフトを導入する可能性に言及した出版社が会場のファンから大きなブーイングを受けたそうだ。しかし現実にはAIの進化で自動翻訳技術も飛躍的に向上し、過去の優れたマンガ固有の表現を全て学習させることで、マンガ文字のフォントも多様化、変形文字などの文字認識にも応用可能だ。
MANGAとマンガ翻訳は、手塚治虫が言うように単なる翻訳を超えて、「特殊な文字」による「新しい言語」としてエスペラント化する可能性を秘めているのではないだろうか?日本の財産だ。

| 18.11.16

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