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紅の豚

先日横浜港で「東京湾大感謝祭2018」のサプライズ企画として、横浜港開港以来初めて港内にシープレーンが着水した。横浜赤レンガ倉庫や大桟橋で見守っていた市民や観光客には大好評だったようだ。
フロートを付けた米国クエスト社製のコディアック・シープレーンが、ベイブリッジの上空から飛来し、水しぶきを上げてゆったりと着水する姿は、正にスタジオジブリ制作の長編アニメ『紅の豚』そのものだ。
『紅の豚』に登場する17歳の少女フィオピッコロのセリフに、「飛行艇乗りの連中ほど気持ちのいい男達はいないって、おじいちゃんはいつも言っていたわ。それは海と空の両方が奴らの心を洗うからだって。だから飛行艇乗りは船乗りよりも勇敢で陸の飛行機乗りより誇り高いんだって」・・・水陸両用のシープレーンには、飛行機や船以上にロマンを感じさせるものがあるのだろうか。今回のシープレーン飛来の実現には何と30年以上の関係者の努力があったと聞く。
横浜港がインテグレーティッドリゾート(IR)の最有力候補地と言われて久しいが、なかなかスッキリとは進まない。IRで大成功したシンガポールも、10年前にIRを誘致する時はカジノ賛否両論、議論百出だったようだが、その時の選考プレゼンテーションVTRを見ると、あることに気がつく。それはプレゼンテーションが「Singapore Government has a dream....」で始まる!ということだ。
シンガポール政府は自ら将来への夢とロマンを持ってIRを誘致しようとした。それに対して横浜市長のIRへの夢とロマンは聞いたことがない。カジノ批判を恐れるあまり、市長は未だに賛成すらしていないのだ。
横浜市と国交省航空局はいつからロマンを捨てたのだろう?明治の開港時にはあったように感じるが・・・。片やドバイは世界の先陣を切って、ドローン・タクシーを飛ばそうとしている。ドバイの道路交通局(RTA)は、ドイツの新興企業ボロコプター
( https://www.volocopter.com/en/ )とパイロットのいないエアタクシーの試験を年末に向けて実施するそうだ。さらに、中国のドローン・メーカー「億航」とも手を組み、1人乗り「自動運転航空機」イーハン184の試験も行っている。皆世界一になるために必死なのだ。
今回のシープレーンの着水は、ボトムアップの努力で規制を突破してやっと実現したものだ。
世界の都市は、熾烈な都市間アイデンティティ競争の時代に入っている。横浜市が『紅の豚』をトップダウンでコマーシャル運行させても、市民は理解するだろう。

| 18.11.02

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