trendseye

リカオンのくしゃみ

第48回衆院選で自民党は得票率が過半数を下回る48%であったが、野党陣営の自滅と小選挙区制のメリットを最大限に生かし、単独でも国会を安定的に運営できる絶対安定多数(261)を上回り圧勝した。
選挙が終わると毎回必ず、選挙結果は本当に民意を反映しているのか?と疑問の声が上がってくる。しかし動物界で飼い犬の祖先とも言われる古代犬リカオンのくしゃみによる群れの意思決定方法を知ると、人間界の民意決定は複雑なあまり、結果リカオンにも劣るのではと考えてしまう(http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/17/090800342/?P=2)。
安倍首相は選挙結果について、「安定した政治基盤に立って政治を前に進めろという国民の声だと考えている。一つ一つ結果を出すことに全力を尽くしたい」と述べ、自民大勝で内閣は信任されたと言い換えたが、雰囲気は重苦しい。
このような結果の場合、リカオンなら狩りには行かないだろう。敵が待ち伏せている(再度国会で揉める内容を含んでいる)ことが分かっている狩りはしないからだ。もう一つ、群れの意思を上回る判断が存在することをリカオンは許さない。
安全保障上の“自律”国家ではない日本がいくら憲法を定めようが、これまでその解釈をアメリカの意思に添って既に何度も変えてきたことを、国民は知っている。リカオンの意思決定は唯一最高意思決定しかない。自分たちの意思で狩りに行かなければボスは責任を取れないからだ。それが生死を決めるのだから分かりやすい。
「平和憲法は日本の誇りだ」と教えられた記憶もあるが、国家の安全保障が自身の手にあるという条件付きだとは教えられなかった。しかしそれはリカオンでも知っていることだ。
安全保障を米国に依存する限り、日米地位協定と日米原子力協定が憲法を超えるものである限り、我々はリカオンにも劣る意思決定機構しか持たないことになる。二大政党政治の実現など遥か遠い。
安倍首相が悪いわけではないが、彼はリカオンのボスとは違い与えられた役割を演じないといけない不憫な存在なのだ。彼は我々の民意(選挙結果)がリカオンの群れの意思にも劣ることを知っているから暗いのだ。
フセイン元大統領も、ムバラク元大統領も、カダフィ大佐も、アサド大統領も元はアメリカが作り上げた傀儡である。近代史が如実に示すように、安全保障を独自に確立できていない政権は、あたかも合法的に作られたかのようでいて、最後は安全保障の主によって葬り去られるのだ。
せめてリカオンのくしゃみレベルの選挙をしたいものだ!

| 17.11.03

CATEGORY

  • BOOM
  • FOOD&RESTAURANT
  • LIVING&INTERIOR
  • SCIENCE&TECH
  • TRAVEL
  • TREND SPACE
ART BOX CORP.