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拡張現実(AR)

現在神戸で開催中の「怖い絵」展は8月20日までに11万4千人が来場、ドイツ文学者で作家の中野京子氏が“恐怖”という切り口で西洋美術史上の名画を読み解いた著書がもとになっている。東京では上野の森美術館で10月7日(土)から開催予定だが、難しい展覧会にも関わらず前売り券の売れ行きも好調で盛況が予想される。
その裏には「音声ガイド」の進化があるようだ。作品には日本人になじみの薄いギリシャ神話やキリスト教、歴史など欧州文化のエッセンスが下敷きとなった絵画が多く、視覚的な怖さだけでなく、“この絵はなぜ怖いのか?”と隠された背景を知ることで“恐怖”を紐解いていく新しい視点の展覧会になっている。そのため約350 台用意した音声ガイドがすぐにすべて貸し出し中となり、返却されるのを待つ来場者まで現れるという異例の事態が起きているという。
通常、入場者の10%が借りればヒットとされる音声ガイドの利用率が、「怖い絵」展では25%を上回り、急遽700台に倍増して対応。映画のように絵画の中にも『ストーリー』があり、それを『読み解く』楽しさが美術展の新たな魅力になってきているようだ。
ところでGoogleは、世界中の美術館や博物館と協力することで従来の音声ガイドを一歩前進させ、来館者が「Tango」(https://get.google.com/tango/)対応スマートフォンを利用して歴史上の芸術作品を拡張現実「AR」(Augmented Reality)で体験できるようにした。まずはデトロイト美術館で始められたこの試み、来館者は芸術作品をスマートフォンの画面を通して見ることで、さらなる背景情報に触れることができる。
たとえば棺の中にある2000年前のミイラの骸骨をX線写真で見たり、色あせた石灰石の彫刻を数千年前にはそうであったと想像される一段と豊かな色彩にしたり、6階建てほどの高さがあるバビロニアのイシュタル門を、デトロイト美術館が所蔵する蛇のような聖獣のパネルからデジタル復元したりできるのだ。
マイクロソフトのビル・ゲーツは自身の財団で、世界のすべての現存絵画をデジタル画像でアーカイブ化するという壮大な企画に取り組んでいる。これに成功すれば、いかなるところにある名画もスマートフォンをかざすだけで、そのヒストリーとプロファイルが解説される「AR」時代に突入し、人類の記憶がまさにスマートフォンでバックアップされる時代に入っていく。
「AI」(人工知能)、「AR」(拡張現実)、「AD」(自動運転)という「3A」がこれからの人類の新三種の神器なっていくのか?

| 17.09.08

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