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フォーミュラE

アメリカのパリ協定離脱を批判したホーキング博士が地球の「金星化」を予言する中、先日英国政府は、2040年までに国内でのガソリン車およびディーゼル車の販売を全面的に禁止すると発表した。フランス政府も既に同じような措置を決めている。世界の石油消費の7割弱を自動車などの輸送用が占めているが、環境対策として「脱石油」、「オール電動化」への流れが一段と加速することになる。
今年6月の第85回ル・マン24時間耐久レースで3年連続で総合優勝したポルシェが、今期限りでヨーロッパGTカーシリーズの活動を終了し、19~20年シーズンから「フォーミュラE」(http://www.fiaformulae.com/en)に参戦すると正式に発表した。2016年のアウディ撤退に続き、ポルシェも去ることになったわけだ。両社ともフォルクスワーゲンのグループ企業、トヨタはこれでル・マンに勝つ意味を失ってしまうことになる。
「フォーミュラE」はガソリンエンジン車だけで戦う「フォーミュラ1」に比べ、これまでレースとしては格下とみられていたが、ここにきて俄かに活気づいている。17~18年シーズンからはアウディが本格参戦し、19~20年シーズンまでにポルシェ、BMW、メルセデス・ベンツ、と独高級車4社が揃う。すでに仏PSAの高級ブランドDSや英ジャガー・ランドローバーは参戦済みだ。各社の研究開発費におけるEV開発の比重が高まり、レースの優先度も変わり始めている。「フォーミュラE」のアレハンドロ・アガグCEOは、「モータースポーツを通じて都市の電動革命を主導する」と唱え、各社がこの理念に共鳴しているという。因みに現時点では日本とアメリカからの参戦は無く、日産がアライアンスを組むルノーに代わって参戦する可能性があるとだけ報じられている。
「F1」ではエンジン性能とタイヤが決め手だったが、「フォーミュラE」の勝敗はバッテリー性能によって決まるとも言われている。EV市場の拡大を見据える自動車メーカーにとって、「フォーミュラE」はバッテリーの出力制御、高効率なパワートレイン開発など、今後の市販EVに必要な技術の「走る実験室」となりつつある。
車屋がモータリゼーションを考える時代は既に終わった。数年後の「フォーミュラE」は、AI技術によりドライバーさえ必要ない自動運転での戦いの場になっていることだろう。
そこにトヨタ・ホンダといえども既存の日本の自動車メーカーの名前がある保証はない。

| 17.08.18

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