trendseye

やすらぎの郷

フジテレビ系のドラマ脚本家とされていた倉本聰が今の若者に媚びたテレビ業界への異議を唱え、人間を掘り下げられないTVドラマに“喝”を入れるべく自ら企画立案・脚本を手がけた連続ドラマ「やすらぎの郷」が、TV朝日系列で放送され話題を呼んでいる。
このドラマの興味深いところは、先ず「超豪華老人ホーム」って一体どんなところ?という覗き見根性に訴え視聴率を稼いでいる点だろう。海の見えるコテージにはゴルフ場があり、バーもある。豪華な施設には医師が常駐し、男性スタッフは義理堅く女性スタッフは美人だとなれば覘いてみたくもなる。主人公を演じる石坂浩二の実際の元伴侶を含む往年の大スターたちが老いをさらけ出し、過去への執着や現在の不満、残り火のような恋心、病気や死への恐怖などを抱えて暮す様は、ドラマを超えて正にリアルな迫力がある。来るべき「少子高齢社会」で想定される自分自身の姿と、望んでも手に入らない夢の老人ホームの世界が交叉する中、視聴者は自らの人生のシミュレーションをしながら不安を共感していく。
総務省「家計調査<2人以上世帯>」(http://www.stat.go.jp/data/kakei/)2014年によると、70歳以上の54%は年収200万円未満の貧困層が占め、65~69歳は17%、60~64歳は11%と高齢者に貧困が集中し、毎年その比率が増え続けていることが分かる。
高齢者の“やすらぎ”とは何か?「自分の健康や病気」への心配はさて置き、永遠に収入が続く環境の中で死ねるかどうかだと「やすらぎの郷」は教えている。
日本の年金と社会保険制度はこれまで世界的にも評価されて来たが団塊の世代の高齢化を支える力はなく、今や受給者・支払者ともに将来への不安を抱えている。片や世界の高福祉国家は北欧4カ国の例に見るまでもなく、支えているのは勤労者の労働努力ではなく北海油田などの資源利権による膨大な「不労所得」である。
日本人は「不労所得のある怠け者経済こそが理想だ」と正直に表明し、「やすらぎ」をもたらす少子高齢社会を創るためには、「もの作り」だけでなく「エネルギー資源開発」を進めることが必要だと意識転換すべきだろう。勤勉なものづくり国家と世界からおだてられ働き詰めても、永遠に報われない罠にはまってはならない。
日本領海にシベリアのLNGに匹敵する膨大なメタンハイドレードの埋蔵が、既に確認されていることを忘れてはいけない。

| 17.06.02

CATEGORY

  • BOOM
  • FOOD&RESTAURANT
  • LIVING&INTERIOR
  • SCIENCE&TECH
  • TRAVEL
  • TREND SPACE
ART BOX CORP.