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スカイカー

「車が空を飛ぶなんてSFの話」と思っていたら、「空飛ぶ車」(スカイカー)の開発プロジェクトが世界のあちこちで立ち上がり、いつのまにか現実がSFに近づいてきている感がある。
スロバキアのAeroMobil社が開発を進めていた空飛ぶクルマ「AeroMobil 3.0」は、ついに予約販売を開始した。市販モデルは限定500機で、値段は日本円に換算すると1億4,000万円から1億7,500万円になるそうだ。アメリカではGoogleの親会社AlphabetのCEOラリー・ペイジ氏が出資するベンチャー企業Kitty Hawk社が、水上をはじめとする「非密集」エリアに限定して飛行する新たな空飛ぶ乗り物「Kitty Hawk Flyer」の試作品をインターネット上で公開し、年内にも米国で発売したいとしている。またマサチューセッツ工科大学(MIT)の出身者らが興したTerrafugia社が2006年に開発を始めた、垂直離着陸(VTOL)も可能なスカイカー「TerrafugiaTF-X」(https://www.terrafugia.com/tf-x/)は発売目標2026年、と世界では「スカイカー」開発がめじろ押しだ。
さらには米のUber Technologies社が2020年までに「空飛ぶ車」の運用実証実験を実施すると発表。ブラジルの旅客機メーカー・エンブラエル社などと提携しVTOLを利用した短距離輸送ネットワーク「Uber Elevate」計画を公表している。実験場所にはドバイと米南部テキサス州内を予定し、将来的にはUberの配車サービスのように顧客が簡単に乗り物を呼び出し高速で移動できる航空交通の実現を目指すというものだ。各スカイカーメーカーもウーバーの計画を注意深く見守っており、パイロットとしての訓練なしで誰もが乗れる、オンデマンドの空飛ぶ自動運転タクシーのサービスが展開される未来が来ることを確信している。
日本でもトヨタのエンジニアが自費で立ち上げたカーディベータ社のスカイカー「スカイドライブ」が話題になっているが、欧米のアントレプルナー達の上場で得た資金がリスクマネーとしてライフスタイル変革に投資されている規模には及ばない。世界ではリスクマネーがイノベーションを起こし、政府が規制撤廃で応援している。イーロン・マスクやジェフ・ベゾスの火星宇宙船開発がそれだ。
それに引き換えリスクマネーを出せる人は本業の技術投資がめいっぱいで、異分野イノベーションにまで気が回らない日本。国は新しい事業の概念には規制をさらに強め、意志ある開発者はどんどん日本を離れていくばかりだ。この国で、上場で得た資金がスカイカーや宇宙への進出などに投資される時代は来るのだろうか?

| 17.05.12

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