UMAMI逆襲
2009年にロサンゼルスで誕生し、サンフランシスコ、ニューヨーク、シカゴへと拡がった「UMAMI BURGER」(http://umamiburger.jp/)が、3月、遂に東京・青山に上陸した。
特徴は、高級ステーキ店で提供するのと同じ品質の牛肉に、昆布や醤油、干しシイタケなどうま味のある食材を複数用いた独自の味わいだ。食材の“うま味”を最大限に引き出す方法を試行錯誤の末に編み出して大人気となり、タイム誌が選ぶ「史上、最も影響力のある17のバーガー」にも選出された。店名の「UMAMI」は、塩味、甘味、苦味、酸味に加え最近になって認められた日本発の第5の味覚と呼ばれる“うま味”のことだ。“うま味”のルーツ日本で日本食と勝負しようということらしい。
武骨で大雑把なジャンクフードのイメージしかないアメリカンフードの代表がハンバーガーだった。しかし最近は上質な肉を使って作られるグルメバーガーというスタイルが上陸し、「SHAKE SHACK」をはじめ都内には行列ができる絶品グルメバーガー店もいくつか出来ている。
新たに登場した「UMAMI BURGER」は、価格においても既存のグルメバーガーを上回る1200円台(米国では10ドル)からで、飲み物を合わせると客単価は2000~2500円にもなる。創業者メディロス氏によると、本当に良質なハンバーガーを追求し、肉の種類を選び“うま味”素材を複数使用した結果の価格ということらしい。
一方、味覚を可視化して注目を集めるAISSY株式会社が、2015年に日本人100人と外国人100人を対象に実施した「味覚力調査」(http://aissy.co.jp/press/580)によると、“うま味”での正答率が、日本人71%に対して外国人は約半分の34%だったという。国別では日本、韓国、中国ほかアジア系の平均点が高く、アフリカ、ヨーロッパ、アメリカ系の平均点が低いと結論づけている。
"うま味"がわかる人が少ない米国から上陸して、うま味の国での勝負。味の素の主成分として欧米でも日本でも一時拒絶されたグルタミン酸が、“うま味”として再評価され当然の様に使われていることに少し複雑な気持ちがする。
果たして"うま味”の相乗効果を狙った「UMAMI BURGER」が日本発の出汁由来の“うま味”への逆襲となるのか。
初代国産ホンダNSX は、その革新性においてフェラーリを変えたとまで言われたが、二代目NSXはなぜか米国産になってしまった。米国では売れるかもしれないが、米国産フェラーリがあったとしても世界に買いたい人は殆どいないだろう。
この戦いは色々な意味で注目に値すると思う。
| 17.04.07