ESTA強化
ESTAとはアメリカに渡航する際事前登録しなくてはならない電子渡航認証システムだ。今までは名前や住所、国籍などの個人情報を登録すればよかったが、そこにSNSサービスを選ぶプルダウンメニューが昨年末12月より追加された。
アメリカ国土安全保障省は、ESTA(https://jp.usembassy.gov/ja/visas-ja/visa-waiver-program-ja/esta-information-ja/)登録が必要な、日本を含むイギリスやフランス、ベルギーなど先進国を中心とする38カ国からの外国人旅行者に対し、IS対策の一環としてFacebookやTwitter、YouTubeなどの個人SNSの申請要請を進めるとしている。
要請コメントは、「オンラインサービスを利用する際、どのプラットフォーム、アプリケーション、ウェブサイトを使用して協働、情報の共有、他者との交流を行っていますか、またその際に使用しているアカウントのユーザーネームを入力してください」というものだ。今現在は必須ではないが紐付けは時間の問題のようだ。米当局が安全保障上の情報としてSNSを参照する承認を入国の条件にするということだ。
SNSの持っている情報は住居から家族、仕事、人間関係まで様々だ。普段何をしているか、どんなことに関心を持っているか、どこへ出かけているか、どんな写真やビデオ、あるいはライブ動画を共有しているか?更にどんな人と繋がり、誰と頻繁にコミュニケーションを取っているかもわかる。SNSで調子に乗っていると、思わぬ捜査が待ち構えている時代になったという事だろう。
アメリカ国土安全保障省が、国民の電話のメタデータを大量に集めることは憲法違反だと判断されたにもかかわらず、MS、FBなどSNS各社に、必要となればすべての個人情報を提出するよう圧力をかけていることは周知の事実だ。今回は、外国人に対してもオフィシャルに監視すると宣言した事になる。
前例のないロシアによる選挙ハッキングも露見し、国家安全保障の強化にさらに拍車がかかって行くだろう。
第45代大統領就任まで秒読みとなったトランプ氏だが、彼の勝因はSNS効果とも言われている。今後も新政権で情報発信を行う際は主要メディアを排除し、FacebookやTwitter、Instagramなどから、フィルターを介さずに直接国民に伝えると言っている。既に就任前から盛んにTwitterによる意見を発信し、大企業のトップ達は露骨なトランプ詣でをしている。
トランプ氏はSNSの情報拡散スピードが速いことを本能的に認識する一方、SNSを利用して潜在的脅威を監視していくことになる。
我々は、情報をダイレクトに受発信する権利と監視されるリスクとのトレードの時代に入ったことを認識すべきだろう。
| 17.01.20