三が日休業
百貨店業界が2日から「初売り」を始める中、今年もそごう西武は業界の掟を破り、大手百貨店で唯一元日営業を続けている。その様な中、三越伊勢丹は逆に、2018年から主要店舗で正月三が日は休業し4日から営業することを検討しているそうだ。百貨店はコンビニではない。物を売る以上に日本文化を売っているという自覚が必要だ。
昨年三越伊勢丹は初売りを1月2日から3日に変更し、ネットでは称賛の声が多かったという。さらに正月休日を増やす今回の新方針は、「最高の状態で働いていれば、最高のおもてなしができる」と、休日増加が従業員の意欲を高めサービス向上につながるためだとしている。世界中で1月1日だけが新年の休日という国が多い中、日本の「三が日休業」は新しい年の為に生活をリセットするという伝統、他のアジアの国々にはない日本独自の正月文化を生み出してきた。役所も工場もかつては商店もすべて止まり、静寂の中で三が日を伝統文化と共に過ごす事で、新しい年を迎える喜びを地域と家族とで味わってきたのだ。アジアの大都市で近年深刻な大気汚染が進む中、日本の三が日の澄み切った空気はほとんど奇跡だ。この静寂を求めて日本にやって来る外国人も多い。
ところで、国土交通省は昨年12月26日に、2015年度全国都市交通特性調査(速報版)(http://www.mlit.go.jp/report/press/toshi07_hh_000101.html)を発表し話題になった。今回の調査では、調査日に外出した人の割合と一日に移動した回数のどちらもが1987年の調査開始から過去5回で最低の結果となった。外出しないのは「家に閉じこもった暗い生活をして、不幸せな状態」と判断しがちだが、決して不幸な生活を送っているわけではなく生活に不満足がたまっている状況でもない。博報堂生活総合研究所が昨年まとめた“2017年 生活気分”では、2017年に力を入れたいことは「睡眠・休息」がトップで、「健康」「趣味・遊び」を上回る結果となった。
もともと静的な美を求める日本の生活文化だが、既に四半世紀に及ぶ経済の停滞で独自の熟成が進み、資本主義的拡大主義を否定。富の誠実な再分配を目指して、ある種平等な江戸の町人文化的な発展を良しとし、日本国丸ごと「世界文化遺産」を目指したテーマパーク化が進行しつつあるかの様だ。
グローバル化の恩恵を受けたい日本人は日本を脱出し、ガラパゴス転じて新・日本文化を作り出す人は国内に残る。そんな国になっていくのだろうか?奇しくも交通事故死が4000人/年を割り、1950年代より少なくなったと報じられている。
| 17.01.06