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Googlezon

Google、Microsoft、Amazon、Facebook、IBMの5社は先月、人工知能(AI)研究における新しいパートナーシップ「Partnership on AI」で提携したと発表した。海外メディアのPopular Scienceなどは、「AI研究におけるアベンジャーズの誕生だ」と大企業によるパートナーシップ提携をポジティブに報じている。しかしこの様な大提携は、パートナーシップの強さというより弱さを予感した者同士の野合なのではないだろうか?
これまでGoogleのインテリジェントパーソナルアシスタント「Google Now」やFacebookのパーソナルアシスタント「M」、IBMの「ワトソン」など、多くのIT企業がAIの研究やAIを活用したサービスの開発に熱心に取り組んできた。
そんな中2004年11月に公開されたフラッシュムービー「EPIC 2014」(http://idorosen.com/mirrors/robinsloan.com/epic/)は、インターネットの幕開けから2014年までのメディア環境を予測し、今の中国のSNSの状況をほぼ言い当てていたことで注目されている。8分の動画の内容は、GoogleとAmazonが合併した空想上の企業Googlezonが個人に向けたニュースを配信し、既存のマスメディア(ニューヨークタイムズなど)よりも大きな影響力を持つようになるというもの。Googlezonがユーザーに提供するのはメディアが発信しているニュースだけでなく、個人の手で書かれたブログや、ユーザーの属性・消費行動など状況に応じてコンピュータがカスタマイズしたもの。ユーザーは各自でプライバシー保護のレベルを設定しコンテンツを保存したりして、読んだニュースを外部に公開できるようになる。その一方でフリーランスの編集者が次々と生まれて、ユーザーは彼らの発信するニュースをより重視して購読するようになる…という未来予測。
これは正に中国のテンセント(騰訊)の提供するSNSサービス微信(WeChat)の姿だ。そのユーザーは現在すでに8億人を超えており、世界最大のSNSとなった。公式アカウントは新たな情報送信の中心となり、いかなるメディアもこの微信の存在を無視できなくなっているという。情報規制国中国のSNSが8億人をネットワークしたことで、FacebookやTwitterを凌いで、世界一民主的なメディアになろうとしているとは皮肉なものだ。
そしてその中国が今、国をあげてAIの開発に取り組んでいる。すべての言語のユーザーが自動翻訳で8億人の中国人とWeChat上で交流することになれば、それは米国のメディアにとって悪夢であり、その恐怖がアベンジャーズを生み出すきっかけになったのだろう。

| 16.10.07

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