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Singularity

2045年にコンピューターの能力が人類を越える日「Singularity」がやって来るという予測がある。
人工知能(artificial intelligence、AI)が自らを規定しているプログラムを自身で改良するようになると、永続的に指数関数的な進化を遂げる。この結果、ある時点で人間の知能を超えて、発明などはすべて人間ではなく人工知能が担うようになり、それ以降の進歩は人間がいくら考えても想像ができないレベルに達する。レイ・カーツワイルは、著書『The Singularity Is Near: When Humans Transcend Biology』の中で、2045年にその特異点を迎えると予言している。
今やチェスも将棋もコンピューターが人間の能力を上回るが、囲碁だけは10年以上先になるだろうと言われていた。しかし、2016年3月にGoogleの子会社が開発したAIのコンピュータソフト「AlphaGo」(https://www.deepmind.com/alpha-go.html)が、韓国屈指の棋士である李セドルと対局し勝利した。各国の棋士の実力を比較しインターネット上で公開している「Go Ratings」の評価によると、今回の一戦を制した「AlphaGo」は世界4位となり、敗れた李セドルは5位についている。ちなみに1位は若くして名高い中国の柯潔、2位は韓国の朴廷桓、そして3位には日本の井山裕太が続いている。
しかし、チェスや将棋、囲碁など、特定の分野だけを対象としない汎用人工知能(General Artificial Intelligence、AGI)の開発は、まだまだ実現困難とされている。やっと「AlphaGo」に「ディープラーニング(深層学習)」と呼ばれる人工知能の新技術を取り入れ、自分自身と戦わせるなどして囲碁の特徴を自己学習できるという進展を見せるようになった段階なのだ。
人々の想像を掻きたてたドラえもん、鉄腕アトム、ターミネーターの「T800」や「スカイネット」、2001年宇宙の旅の「HAL9000」などなど…いわゆる感情を持った存在こそが、AGIであり人間と比較出来る人工知能といえる。
スティーヴン・ホーキング博士も、以下のような予言をしている。
「完全な人工知能を開発できたら、それは人類の終焉を意味するかもしれない」、「人工知能が自分の意志をもって自立し、そしてさらにこれまでにないような早さで能力を上げ自分自身を設計しなおすこともあり得る。ゆっくりとしか進化できない人間に勝ち目はない。いずれは人工知能に取って代わられるだろう」、「人工知能の発明は人類史上最大の出来事だった。だが同時に、『最後』の出来事になってしまう可能性もある」
しかし、ホーキング博士は人間の進化は肉体の限界に対する挑戦がモチベーションになっている事をよく知っているのではないだろうか。モチベーション無しには流石のAIも進化の方向を定めきれないだろう。

| 16.06.03

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