trendseye

タトゥ-温泉

三菱地所が3月25日からYouTubeに公開した動画「スノーモンキー東京へ行く」(https://www.youtube.com/watch?v=sSWbHAHdi5g)の再生回数が66万回を超えた。
同社が東京・大手町に建設した再開発ビル「大手町フィナンシャルシティ グランキューブ」の敷地内で温泉が湧いたことにちなんで制作したもので、内容は山奥の雪国から1匹の猿が桶とタオルを手に列車を乗り継ぎ、大都会東京・大手町の天然温泉を目指して旅するという心温まるストーリーだ。
日本の冬の風物詩で、最近海外メディアでも紹介されて認知度を上げた「スノーモンキー」が、大手町温泉に入りに来たというわけだ。
エリア内には2016年7月20日に「塔の日本旅館」をコンセプトとした地上18階建ての「星のや東京」も開業予定だ。客室数84室、平均客室単価8万~12万円の高級旅館となる見込みだが、アマン東京をコンペティターとして、大手町から温泉施設のある「和のおもてなし」を世界に発信していくという。
星野リゾートはそれに先立ち4月から全国12か所にある再生旅館ブランド「界」で、入浴時に小さなタトゥーを隠すためのシールを配布する制度を本格導入した。シールは縦8センチ横10センチほどの大きさで最大2枚まで使用でき、肌の色に応じて4種類。2枚で160平方センチメートルなので、「160平方センチからの温泉文化変革」と呼んでいるそうだ。
昨年観光庁が全国の温浴施設約3700軒に行った実態調査によると、約31%が「入れ墨・タトゥー」を許可、56%が拒否、13%がシールで隠すなどの条件付き許可という結果だった。「入れ墨・タトゥー」は長らく反社会的な人々の象徴とされ、温浴施設の多くは「入れ墨、タトゥーのある人の入浴お断り」としてきた。だが海外ではファッションや文化、或いは軍事的な理由で入れ墨をするケースが多々ある。外国人観光客の多くが観光目的に温泉を挙げていることもあって、異文化と風紀維持?のはざまで“おもてなし”を模索する取り組みが続いている。
一方、入れ墨・タトゥーがあっても利用可能な温泉や銭湯、サウナなどの情報共有サイト「タトゥースポット」(http://tattoo-spot.jp/)には、現在全国のタトゥーユーザーから1300件以上の情報が投稿されているそうだ。
古来日本の文化でもあるタトゥーだが、明治時代には西洋人に遠慮して公共の場での露出を禁じられた。そして今度はまた西洋人に遠慮して解禁しようとしている。
そこには自分たちで自分達の文化の価値を評価できない情けない日本の姿が見え隠れする。

| 16.05.20

CATEGORY

  • BOOM
  • FOOD&RESTAURANT
  • LIVING&INTERIOR
  • SCIENCE&TECH
  • TRAVEL
  • TREND SPACE
ART BOX CORP.