外国人居住
法務省入国管理局の統計によると、2015年の外国人入国者数は1974万人、在留外国人数(居住者)は公式には223万2,189人で、そのうち約4割の100万人ほどが東京圏に住んでいるとのこと。
リクルートのSUUMO『なんでもランキング Vol.61都内在住の外国人に聞いた「住みたい街はどこ?」』2013(http://suumo.jp/article/nandemorank/rank/hitori_kyujitsu/3156/)によると、外国人居住者の住みたい街の第1位は新宿で、2位に渋谷、3位秋葉原、4位品川、5位六本木、6位浅草だそうだ。理由として、「オフィスに近い」「繁華街が近い」ことが挙げられている。外国人居住者にとっては日本の繁華街も安全に映るようだ。
しかし一方、スイスのIMD(International Institute for Management Development)による世界競争力年報(IMD World Competitiveness Year Book 2014)によれば、『海外高度人材にとって魅力的な国』ランキングで、日本は60ヵ国中48位にとどまっている。更に『企業幹部の国際経験の豊かさ』では、実に60ヵ国中59位だ。
最近日本のインバウンド観光客が劇的に増えたと政府は言うが、総人口1億2千万人から考えるとまだまだ低い。人口対比100%を超えている英国のインバウンド観光客数は75百万人、フランスは8千万人だ。日本は人口比50%として6千万人いてもおかしくはないので興奮するような話ではない。
一方インバウンド対応をGDPに貢献するレベルまで産業化するより、外国人居住者を増やす方が効果的なのは明らかだ。実質延べ滞在日数が格段に増える。ところが居住者となると現状の220万人は国際的に更にとても少ないのが実情だ。日本の総人口に占める在留外国人の割合は約1.8%、せめてタイ並の5%位あっても良いだろう。しかし、5%となると600万人、現状の220万人から更に380万人の生活サポートが必要になる。平均家族数3人とすると、必要部屋数は100万室を超え、計算上では観光客対応の約5倍、200室換算のアコモデーション施設で約5000物件を要する。政府の想定をはるかに超える数だ。
こうなると民泊でホテル不足を補ってお茶を濁している場合ではない。政府はオリンピックへ向けて「新観光立国論」の受け売りをただ謳うのではなく、G7の一員として人口の5%ぐらいの外国人居住者を常時受け入れる基本的覚悟を示すべきであろう。これは移民問題とは全く別次元の問題だ。
都知事も自分の別荘ライフを充実させる前に、日常的グローバルアコモデーションが圧倒的に不足している東京の現状を直視しては如何だろうか?
日本にとって大きなアップサイドがあると思うのだが。
| 16.05.13