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それが何か?

フランスのル・モンド誌は、オランド大統領と事実婚でありながら元ファーストレディーだったヴァレリー・トリエルヴェレール女史と保守系国会議員との不倫疑惑を報じた雑誌が、議員に名誉棄損で訴えられた事件で興味深い記事を書いている。昨年12月に日本の最高裁にあたる破毀院が、「不倫はもはや反道徳的とはいえない」という判決を下したというのだ。裁判所は不貞の事実関係すら踏み込まず結論を出したようで、「道徳の概念は時代とともに変化するものであり、もはや夫婦間の不貞嫌疑は、それだけで人の名誉や尊厳を毀損する性質のものとはいえない」というのが判決の理由とのこと。日本の乙武事件とは随分な違いだ!
フランスでは、仮に政治家の恋愛スキャンダルが見つかった場合でもあまり国民が興味を持たないし、報道されない場合も多いらしい。政治家の能力と個人の性愛は全く別のものだというコンセンサスが国内に浸透しているからだ。以前、ミッテラン元大統領の婚外子が報道された時も、大統領就任直後の記者会見でそのことを尋ねられたミッテランが、「Et Alors?(それが何か?)」とキョトンとしたというのは有名なエピソードだ。間違ってもそういった行動が政治的能力に影響を及ぼすことは無いと考えられているようだ。文化の違いと思いきや、日本でもミッテランと同じように意に介さない態度がとれる首相がいた。かの神楽坂を、朝夕自分が通りたい方向に一方通行の向きを変えたと言われる田中角栄(http://matome.naver.jp/odai/2137096224703331901)や佐藤栄作だ。むしろスキャンダルがほほえましく語られてきた。反対にそれがアダとなった宇野宗佑という短命首相もいた。要は人物の器の大きさが、洋の東西を問わずスキャンダルを飲み込めるかどうかを決めているようだ。
最近では、5人との不倫を告白した乙武洋匡氏が自民党の擁立要請を受けていた今夏の参議院議員選への立候補を取り下げた。しかし何の理由で立候補を取りやめたのか腑に落ちない人も多いのではないだろうか?誤解を恐れずに言えば、彼は元々反自民的発言が多かった人で、自民党から出馬すること自体が間違いだったのだろう。もしハンディキャッパーを代表して政治家を目指すのであれば、週刊新潮の攻撃に対して「Et Alors?」と言って無所属で立候補する選択肢もあったのではないだろうか?
日本をつまらない国にしないためにも頑張ってほしかった。日本国民ももう少し大人になった方がいい。

| 16.04.08

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