BABYMETAL
日本人の少女3人によるアイドルダンスユニット『BABYMETAL』が、4月1日にリリースしたニューアルバム『METAL RESISTANCE』が、米ビルボード4月23日付総合アルバムチャート“Billboard 200”の39位にランクインした。
過去にチャートインした日本人アーティストは、1963年の坂本九『Sukiyaki And Other Japanese Hits』が最高位となる14位、1975年の冨田勲『Moussorgsky: Pictures At An Exhibition』が49位、1986年のLoudness『Lightning Strikes』64位など。今回の『METAL RESISTANCE』は歴代2位の記録でTOP40入りは坂本九以来53年ぶりだそうだが、言葉の障害があるとは言え、全米で日本車が30%のシェアを持つことを考えるとなんともさびしい限りだ。
『BABYMETAL』は、「ヘビーメタル」をもじって「BABY」の可愛らしさと「METAL」の激しさを融合させたネーミング。もともとはアイドルグループ「さくら学院」から派生したユニットで、言葉を超えたパフォーマンスの「イジメ、ダメ、ゼッタイ」(https://www.youtube.com/watch?v=gYcErTwpVOM)で2013年にメジャーデビューした。その前から「メタル」と「カワイイ」が交錯する外人にもわかり易い姿がYouTubeを通して海外でも話題になっていた。2014年には初のワールドツアーを敢行。海外進出をきっかけとして、先に欧米諸国から評価されるという逆輸入現象を起こしたのだ。海外でライブができる日本人アーティストは稀で、意外なことにYMOや宇多田ヒカルも海外ライブの実績はない。
日本のアイドルの海外進出は2000年以降いくつもあったが、公演が成功裏に終わったと言いつつ観に来ていたのは日本人ばかりというケースが多い中、『BABYMETAL』は海外数千人規模の会場を日本語が母国語ではない人たちでほぼいっぱいにできる数少ない邦楽アーティストだ。他に「きゃりーぱみゅぱみゅ」や「Perfume」など、日本でやっているそのままの形で言葉の壁を超えたアーティストはわずかだ。
日本のミュージシャンにとって言葉以上に最大の壁は1億2千5百万人の、そこそこ大きな国内マーケットだ。サザンオールスターズをはじめ、日本で成功すればそこそこの立場を手に入れハングリーでなくなる。日本の豊かさが世界に乗り出す意欲を削いでいるのだ。ゴルフ界も同様だろう。しかし英語人口は17.5億人と言われており、そこで成功することは欧米諸国での成功を意味する。世界人口70億人の3割近くに聴かせることができる(?)のだ。
インバウンド市場が注目される中、グローバル市場での成功を目指すアウトバウンド志向も重要だろう。
| 16.04.15