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クリぼっち
街がイルミネーションなどの装飾でクリスマスモード全開の中、日本のクリスマスのイメージが変化してきている。キリスト教をファッションとして捉え、「クリスマスは 恋人の日」という百貨店のプロモーションに始まった日本特有のイメージが薄まり、「クリスマスは家族で過ごすもの」という本来のイメージが浸透しはじめているようだ。そんな中、「クリぼっち」という言葉が流行っている。
「クリぼっち」とは、クリスマスの「クリ」に、ひとりぼっち(一人ぼっち)の「ぼっち」で、「一人ぼっちのクリスマス」という意味だそうだ。異性の恋人がいない場合だけでなく同性の友人も対象にしている場合が多く、実家暮らしなどで家族と過ごした場合でも疎外感がある場合には「クリぼっち」と言うらしい。
20~30代の未婚男女を対象に行った株式会社マイナビのフレッシャーズの調査、『2015年のクリスマスは、誰と過ごす予定ですか?』(https://gakumado.mynavi.jp/gmd/articles/26250)によると、なんと「クリぼっち」を予定している人が約半数を占める結果となったそうだ。「恋人」と回答した人は意外に少なく16.1%、「友人・会社の同僚」は11.5%にとどまり、「家族」も21.6%と、本当に独りぼっちで過ごす独身者が増え社会現象になっている。
アメリカでは、スターバックスがクリスマスシーズン用に今年無地の赤いカップを使い始めた。「帰属と包容と多様性の文化の創出」を目指すのが狙いだというが、ある意味従来のクリスマスへの挑戦を示したものだと物議を醸している。クリスマスカップは昨年までトナカイやクリスマスの装飾があしらわれていたが、今年はそうした「シンボル」をなくして赤い無地のカップに統一。同社のジェフリー・フィールズ副社長は「我々はすべてのストーリーを受け入れる純粋なデザインでホリデーを迎えたい」と語った。既にアメリカがキリスト教的一神教の概念でまとめ切れない国になっていることの証だ。
明治維新以降ものすごい勢いで疑問符を付けずに外来文化を受け入れて来た日本も、外来文化そのものの多様化と日本自体の構造的変化に戸惑いを隠せなくなってきている。あらゆる文化状況、経済指標も既に国単位では語れなくなっている。国内にとどまり状況を甘んじて受け入れるか?自らの身を置く場所を変え、率先して新しい世界を切り開くか?それぞれが決める時代が近づいているようだ。
「クリぼっち」にならないためにも。
| 15.12.18
FB離れ
Facebookの世界のユーザーは、15億5000万人を超えていると言われている。しかし、現実には減少傾向にあるようだ。昨年9月以降ユーザー数が増加しているのは中国とアラブ首長国連邦だけで、他の31カ国では減少している。
中でも、米国の投資会社Piper Jaffrayが実施した「10代の米国人が最も重要とみているSNSは?(2015年秋版)」によると、Facebookを最も重要とする回答者の割合は、2012年秋には42%もあったのに15年秋には15%へと激減している。一方Instagramは、12年秋に12%であったのが15年秋には33%と3倍近くに増え、Facebookよりもはるかに重要なSNSと位置付けられている。さらには生まれて4年ほどのSnapchatも19%とFacebookを一気に追い抜いた。
Instagramの利用者は昨年の12月に3億人を達成し、今年9月には早くも4億人を突破、その勢いはとまらない。日本での利用者数も1年前の2倍の810万人(6月時点)に増えており、ファッションブランドや企業の活用例が増える中、京都の世界遺産、清水寺の公式アカウント「feel_kiyomizudera」(https://www.instagram.com/feel_kiyomizudera/?hl=ja)は「美しすぎる」と注目を集め、3か月半で1万7000人以上がフォローしている。
Snapchatは、一定時間経過すると自動的に消滅するスナップや動画を撮影できるモバイルアプリ。2011年創業後、2014年にはユーザー数が世界全体で1億人を上回ったことが報じられたが、現在のアクティブユーザー数は2億人に迫り、今年9月時点における1日当たりの写真投稿数は3億5000万件と、Facebookのそれに匹敵する規模になっているそうだ。
10代20代を中心にFacebook離れが加速化している理由は、いわゆる“Facebook 疲れ”だ。若いユーザーを対象に調べたところ、Facebookを利用することで最も刺激を受けた感情は「妬み」であることが判明。みな自分を誇張し、より良く見せようとしており、それを見ると嫉妬心が芽生えてしまうというのだ。若者のFacebook離れが止まりそうもない一方で、中核となる中高年層は逆に増えてきているらしい。気持ちの上でFacebookから離れられなくなっているのか、高齢の円熟したFacebookユーザーであれば、友人の(本当もウソも含めた)成功話への妬みが少ないのか…。
マイクロソフトが80年代に成長し、携帯電話は90年代に発達した。インターネットは2000年代に本格的に利用され始め、iPhoneは2007年1月の発売。2008年にはSNSが世界に広まり、FBの上場は2012年とわずか3年前だ。SNSの普及から10年経っていないにも拘らず、ここ5年の飛躍的拡大の中ですでにセグメントが始まっている。FBは既におっさんSNSなのか。
| 15.12.11
ソイタリアン
日本発の新しい大豆の食材“豆乳クリーム”と“低脂肪豆乳”を使った「ソイタリアン」が、10月末までイタリアで開催されていたミラノ万博に出品され、本場・イタリア人からも大好評だったそうだ。この新素材をレシピに取り入れたヘルシーなイタリアンは、濃厚なコクや旨味を損なわずカロリー減、という夢のような“イタリアン”として都内でも増殖中だ。
古来よりみそ、しょうゆなどに加工されてきた和の伝統食材「大豆」を西洋料理へ活用する「ソイタリアン」活動は、不二製油が特許を取得した「USS(ウルトラ・ソイ・セパレーション)製法」(http://www.fujioil.co.jp/fujioil/uss/index.html)という大豆の分離技術を用いた豆乳クリームにより実現した。これまで豆乳は牛乳の代用品として利用されることが多かったが、粘性が弱く加熱すると分離凝固してしまうので生クリームの濃厚さを表現するには至らなかった。新開発されたUSS製法の“豆乳クリーム”は舌を包み込むようなこっくりとした深い味わいで、まさしくクリームそのもの。泡立てれば、なんとホイップクリームにもなるそうだ。女性にはこれまで大豆の栄養価やアンチエイジング効果がよく知られてきたが、さらに罪悪感を持たずにイタリアンが食べられるというわけだ。
そんな“豆乳クリーム”には意外にもラーメン界も注目しているようだ。ラーメンは具やスープが動物性の脂たっぷりで、「食べたいけどカロリーが気になって食べづらい」と思う女性は多い。豆乳クリームの味は動物性に引けを取らず、大豆のうまみ成分はみそ、しょうゆ、辛味などと相性がいいというのだ。今後トレンドになるかもしれない。
豆腐は今から2200年前に中国で発明され、日本へは奈良時代に唐からその製造法が伝えられたそうだ。豆乳は豆腐ができる以前から中国では「豆漿」「豆腐汁」という形で食されていた。日本で豆乳が完成された食品として一般的に認知されるようになったのは昭和57年の豆乳ブームの頃からで、意外に歴史は浅い。しかし、日本は一旦何かを認知するとそれを改良しようという意識がとても強い国民性を持つ。味にクセがあって飲めない人が多かった豆乳だが、「ソイタリアン」の登場で世界の料理のカロリーが驚異的に下がる可能性も出てきた。豆乳の歴史が古い中国と韓国では、豆乳の元祖がどちらかをめぐって論争を繰り返しているらしいが、むしろ新製品の開発に向けて、協力して知恵を出すべき時なのではないだろうか?
| 15.12.04