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ネコノミクス

長く犬の優位が続いていたペットの数だが、猫が逆転する日が近々やってきそうだ。
ペットフードメーカーの業界団体「一般社団法人ペットフード協会」は1994年から全国調査を実施し、毎年犬と猫の推計飼育数を発表している。2014年の調査(http://www.petfood.or.jp/data/chart2014/index.html)では、犬が1035万匹、猫は996万匹だった。調査対象を5万件に増やした過去5年で見ると、犬が12.8%減少する一方で猫は3.6%増えている。飼育世帯数では犬が上回るが、このペースだと今年の調査で猫の数が初めて犬を抜く計算になるそうだ。散歩やしつけが必要ない猫は単身者でも飼いやすいというのが要因なのだろうか?
犬と猫が人間の暮らしに関わるようになった歴史は共に古いが、すっかり人間社会のルールを身に付けた犬と違い、猫はどれだけ人間とつきあっても「野性の精神」を失わないそうだ。
最近、テレビのCMで起用される動物も犬より猫が圧倒的に多くなり、スマホアプリや本をのぞいても、そこにもここにも猫がごろごろ。そしてネットを原動力に、猫がコンテンツ世界の王者になりつつある。中でも株式会社ヒットポイントの『ねこあつめ』(http://hpmobile.jp/games/neko/)というアプリが人気だ。『ねこあつめ』は、庭にごはんを置いて集まってくる猫をただ眺めるだけというスマホのキャラクター収集ゲームだ。2014年10月の配信から約1年で総ダウンロード数700万を達成する大ヒットとなった。日本語バージョンだけしかないにもかかわらず、韓国、中国、北米など海外のユーザーが25%を占め、米CNNのウエブ版でも、『ねこあつめ』の特集動画とそれに関する記事がアップされて話題を集めている。また米国ファンの、「癒される」「楽しい」「アプリを開く時にドキドキする」などといったインタビューも流れ、日本が輩出した猫の大人気キャラクター「ハローキティ―」や「ドラえもん」に迫るヒットになるのではと解説されているそうだ。その他、動画にブログにCMに映画にと猫が生み出す経済効果は、アベノミクスより絶大だと評価する向きも多い。
手間のかかる犬がペット業界をリードするのは経済が上り坂の時らしい。猫がリードするのは、ペットにも自立を求めようとする、今一つ経済に力がない時を象徴しているのだろうか?今の猫ブームは、これからやってくる長期の不況感をマーケットが感じている故なのかと考えると興味深い。

| 15.11.13

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