野生鳥獣食
今年もまた10月1日から、ベッカーズで長野県産の鹿肉 を使った「信州ジビエ THE★鹿肉バーガー」(http://www.jefb.co.jp/beckers/menu/)の限定販売が始まった。ジビエはほとんど輸入している日本だが、2011年よりJR東日本グループが取り組む地域再発見プロジェクトの一環で、鳥獣被害対策として調達された長野県産鹿肉を活用したメニューが販売されており、ベッカーズでの限定バーガーの販売は今年で3 年目だ。
鹿の肉は、ヨーロッパなどではジビエの一つ、貴重な高級食材として人気がある。片や日本では、過剰な保護で野生鳥獣が増えすぎてしまい、食害でスギ、ヒノキ、ブナなどの樹皮や高山植物など森が枯れてきている。現在農作物の被害額は年間200億円を超え、就農意欲の低下や耕作放棄をもたらし、更なる野生鳥獣の住処の拡大に繋がっている。駆除される野生鳥獣は年間30万頭近くだが、そのほとんどが廃棄されているそうだ。
運動量が多いジビエは高たんぱく低カロリー、鉄分も多い。最近の赤身肉ブームが追い風となって、昨今女性を中心にジビエブームだ。料理人にとってもジビエは楽しいらしい。品質が一定している牛や豚に対し、ジビエはサイズも肉質も個体差が大きく、実際モノを見てどう料理すれば一番その良さが引き出せるかを考え、工夫する面白みがあるという。しかし市場が確立している牛や豚と違い、ジビエは流通経路が定まっていない。
そうした中、厚生労働省が昨年11月から、未整備だった野生動物の肉について衛生管理のガイドラインをつくった。狩猟から消費まで、衛生面での注意点や記録の作成保存、病気の見分け方などを定めている。狩猟したものを食肉処理する施設や流通経路が確立すれば、衛生管理の行き届かない肉が出回らないようになり、そこから、ジビエ料理への需要が高まり、狩猟活動が活発になり、農作物の被害も減少するという好循環が生まれると期待されている。
アメリカのNGO「 Friends of the Earth International 」(http://www.foei.org/)など6つの消費者・環境団体が、米国の大手ファストフードチェーン25社を対象に、メニューに使われている食肉の抗生物質の使用状況について調査したところ、大半が不合格。「米国の大手飲食チェーンのほとんどは、食肉への抗生剤使用に対する不安の高まりに実質的に対応できていない」と批判した。
このような記事を読むと、ジビエを食せる環境にある人はなるべく国産ジビエを食べるのも、TPP時代に大切なことだろう。
| 15.10.23