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美容室男性カット

安倍晋三首相がほぼ毎月、東京・渋谷の美容室「ヘアーゲスト」(http://hair-guest.com/)に通っているのは有名な話だ。妻の昭恵さんから勧められたのがきっかけで、カットの後のヘッドスパがお気に入りだとか。それに水をさすように、「美容師が首相の髪を切るのは厳密に言うと法律違反の疑いがある」とのコメントを厚生労働省幹部が出していた。また日本経済新聞が3月に、安倍首相の「美容室でカット」は違法?と “ニュース”に仕立て上げたことから、現状とかけ離れた「奇妙なルール」の存在が明らかになってしまった。
そうしたところ、今月17日、厚生労働省は「美容室では男性に髪のカットだけのサービスを提供できない」などと定めた1978年の旧厚生省の局長通知を“突然”廃止し、男女問わず美容師がカットを、理容師がパーマを行うことを認める新通知を全国の自治体に出した。その手際の良さに驚いた人もいたと思う。78年当時厚生省は、美容師は主に女性向けにデザイン性の高いカットやパーマの技術を、理容師は男性向けの散髪・パーマの技術をそれぞれ習得していることを根拠に、美容室で男性にカットだけ行うことや理容室で女性にパーマをかけることを禁止していた。美容室を利用している男性で髭を剃ってもらえないことに違和感がある人も多かったのではないだろうか。これに対し、政府の規制改革会議は「性別で分けるのは時代遅れだ」と指摘、この古い通知の撤廃をなぜか“素早く”得意のアンケート調査なく先月閣議決定していたのだ。しかも、日経ニュースとの関係はないらしい??
一方、東京都渋谷区は4月に区議会で同性カップルを結婚に相当する関係と認める条例を成立させ、施行した。同様の条例は全国に例がなく、性的マイノリティの権利を保障する動きとして注目されている。同条例は男女平等や多様性の尊重をうたった上で、「パートナーシップ証明書」を発行する条項を明記。不動産業者や病院に証明書を持つ同性カップルを夫婦と同等に扱うよう求めるほか、家族向け区営住宅にも入居できるようにするとのことだ。GOOD!
すばやく民意を把握して時代とずれている過去の法令を改めていくことは政治の原則だ。政治家は、「国民の理解がまだできていない」などと言うのではなく、政治家から進んで国民の意志(民意)への理解が必要なのではないだろうか?

| 15.07.31

天気予報地図

東シナ海での中国のガス田開発が問題になっている。日中中間線を問う前に、排他的経済水域(EEZ)の200海里が重なった時はどうするのか?の知識なしに新聞を読んでもチンプンカンプンだろう。
日本の天気予報地図は日本全域をちゃんと表示していないものが多い。沖縄や小笠原は画面上で切り離されている。たかが3000㎞なのに、だ。米国はNY-LA間でも5000㎞ある。日本が200海里水域をいれると世界第6位の面積を持つ大国だと言う意識が全くないボケた天気予報地図だ。日本人が住んでいない北方四島はちゃんと示しても、日本人が住んでいるトカラ列島などが画面に入るのは稀だ。
沖縄県教育庁は3月末、県内全ての県立高校に日本地図を教室に掲示し活用することを求める通知(http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-243588-storytopic-7.html)と国土地理院発行の日本地図を配布した。その意図は、「国の形というものを理解してもらうことが目的だ。天気予報で使われる地図は沖縄が別枠で示されており、位置関係が誤解される場合もある。正しく理解してもらうために掲示を求めた」ということだそうだ。
今や、テレビやインターネットの天気予報で毎日見る日本地図が身近な日本地図となっている。しかし天気予報の場合、北海道は面積も実際のものより小さく表現されている。沖縄は日本海に移され、日本があたかも横長のテレビ画面にすっぽり収まるかのようだ。実際に沖縄が日本海にあると思っている人も存在するらしい。地図は世界観の楚にもなるわけで、日本地図の表示にもう少し真剣になってもいいのではないだろうか?
数年前「日本青年会議所」(日本JC)が高校生約400人を対象に行った調査によると、北方領土と尖閣諸島、竹島周辺の地図上に、ほとんどの生徒が国境を正しく描けなかった。またその後、平均年齢44.4歳の5616人に同じ形式で実施した調査結果では、国境線についての全問正解者は9.8%にとどまった。領土・領海に対する意識の低さが表れている。
日本における地図教育の位置づけは諸外国に比べて低いと言われている。安保関連法案の強行採決の前に、国土の境界を正しく理解している国民が9.8%しかいないという事実への解決策を考えるべきではないだろうか?領土を正しく認識することは、主権の大切さや国益について考える第一歩だ。

| 15.07.24

オキシコドン

トヨタ自動車のジュリー・ハンプ前常務取締役(6月30日付で辞任)が麻薬取締法違反容疑で逮捕された事件は、日米の間で「疼痛管理」について大きな違いがあることを浮き彫りにした。
がんや様々な疾病の人、さらには高齢者や傷痍軍人の増加によって、世界中で多くの人々が慢性疼痛に苦しんでいる。それを受けて疼痛管理市場が急速に成長し、世界中で巨大な市場となりつつある。米国立薬物乱用研究所(National Institute on Drug Abuse:NIDA  http://www.drugabuse.gov/)によると、米国ではここ20年あまりで、医師から処方されたオピオイド系(アヘン系)鎮痛薬の使用が急増。全米で1年間に処方された回数は、1991年の7600回から2013年の2億7百万回にまで増加しているそうだ。実際、世界中のオキシコドン使用者の81%が米国人であると報告されているほどだ。ちなみに日本では、1人当たりの年間消費量が全米平均243.8mgに対して3.6mg、これは他の先進国と比較しても驚くほど少ない。
さらに、オキシコドンなどのオピオイド系鎮痛薬を医療目的以外で使用した経験がある人は、12歳以上の米国人の20人に1人にのぼるという調査結果もあるらしい。このように、米国ではオキシコドンがあまりにも手軽に入手できるため、医療目的以外に乱用して過剰摂取や依存症が深刻な社会問題になっている。覚醒剤のように興奮をうながすものではなく気分を落ち着かせる鎮静作用があるので、米国では社会的責任が大きいインテリ層にも多くの使用者がいるのが特徴だ。
一方、相関関係は明らかではないが、オピオイド系鎮静剤の処方が極めて少ない日本では自殺者数の推移や自殺率の高さは、先進国の中で突出している。2014年版の自殺対策白書によると、先進国の中で日本だけ突出して若い世代での死因トップが自殺である。先日、自衛隊員の自殺の多さも話題になったばかり。薬物の処方及び使用方法との関連が懸念される結果だ。
米国はエリートにとって高度ストレス社会であると言える。そこに薬物の入り込むスキがあるのだろう。ジュリー・ハンプの逮捕は、キャロライン・ケネディー大使の計らいで不起訴となったが、奇しくも日米エリート層の日常のストレス管理の違いを浮き彫りにした。

| 15.07.17

REG

「REG」とは、野球場、遊園地、競馬場などあらゆる空間を舞台に物語を付け、数人で協力しあって制限時間内に謎を解き、空間からの“脱出”をはかる「リアル脱出ゲーム」(http://realdgame.jp/)のことだ。これが今、一部ですごい人気だという。
「リアル脱出ゲーム(REG)」は、日本のSCRAP社が、ネット上で爆発的に盛り上がった脱出ゲーム「クリムゾンルーム」のフォーマットを、そのまま現実世界に移し替え再現したことから始まった。暗号などの謎を解きながら、制限時間内に密室や迷路から抜け出す「脱出ゲーム」が、今、様々な場所で開催されている。
見知らぬ人々と密室空間に閉じ込められ、共同で謎を解いて脱出を図るというスタイルのイベントは今まで無かった。特に小説の中のミステリーを模したシナリオが多いため、ミステリー好きとしてはたまらないだろう。生みの親であるSCRAP社の加藤隆生氏は「リアル脱出ゲーム」を「大人の部活」や「文化祭」に喩えている。昨年1年間の延べ参加者数は50万人(売上高30億円)程度だが、リピート率が高く、業界規模はまだ小さいが、今年はさらに拡大すると有望視されている。
この6月にシンガポールで開催された「陰謀からの脱出」は、シンガポール全島が会場というかつてない規模で話題になった。日系イベント会社「ヴィヴィッド・クリエーションズ」が主催するこのREGは、参加者が島の全域に足を運ぶことで、新たな観光資源の発掘や地域への理解の深まりといった効果も期待されている。日本発のゲームが、地域の活性化にも一役買っている。また、REGは知力と体力と感性が必要とされるので、大学研究者や企業のマーケティング担当者も注目しており、米国ではチームビルディングの研修としてビジネスの場でも利用されているそうだ。
小松左京著『日本沈没』は、日本列島が地殻異変で沈没する中、日本人の脱出計画を進めるというシナリオだった。各地で地震や噴火が連続し(現代に当てはまる?)、人々は必死で生き残ろうとする。「リアル脱出ゲーム(REG)」さながらの様子が描かれ、現在も影響力の強い作品だ。福島の時「もしや…」と恐れた人もいただろう。
このところ同時進行中の火山の活性化や、原発のメルトダウンを「脳内化」させてはいけない。現実の日本で起こっていることなのだ。政府は原発を再稼働させる前に、「リアル脱出ゲーム(REG)」でも使って災害時の日本国民の生存率を高める努力をするべきではないだろうか?パニックを恐れて情報統制をするばかりが能ではない。
準備さえすれば「国民はもっと賢い」と信じることが大切だ。

| 15.07.10

ポジティブ・デブ

イギリスの広告基準協議会(ASA)が、「サンローラン(SAINT LAURENT)」の2015年春夏コレクションの広告に対し、イギリス国内での掲載禁止を通告した。問題になったのは、イギリス版「エル」に掲載された、モデルのキキ・ウィレムスをエディ・スリマンが撮影した広告ビジュアルだった。「モデルのあばらが浮き出ており、太ももと膝が同じ細さであるため、非常に低体重に見える。このような広告を発表することは無責任である」というのが理由だ。またフランス下院は4月、痩せすぎのファッションモデルの活動を禁止し、そのようなモデルを雇用した業者に最大7万5000ユーロ(約980万円)の罰金や最大6カ月の禁固刑を科す法案を可決している。
ひるがえって日本では、夏に向けてダイエット本が増え続け、テレビをつければダイエット特集、雑誌を見てもダイエット特集と、デブには何かと肩身が狭い季節が続いている。しかし今、世界は、太っている=不健康、カッコ悪いと決めつけることに疑問を感じ、痩せ過ぎはむしろ不健康であると欧米のメディアが警鐘を鳴らしている。
厚生労働省の研究班が発表した『肥満指数(BMI)と死亡リスクを巡る調査』や、アメリカの医学誌に発表されたレポート『健康長寿のマッスルデブを目指せ!』など、さまざまな研究結果や統計によると、ガリガリ体型やスマート体型よりも少し太っている人(ポジティブ・デブ)が長生きするらしい。また、中高年の日本人男性16万人を10年以上にわたり追跡した国立がん研究センターの研究結果(http://epi.ncc.go.jp/riskcheck/)によると、がんで死亡するリスクが最も低い体型が170cm、75kgのぽっちゃり体型(ポジティブ・デブ)となっている。
昨年健康診断の新基準値が発表され、男性のBMIは27.7まで、女性は26.1までは健康、と変更された。BMI値25以上をメタボ肥満だとし、欧米諸国と比較するとかなり厳しいと言われていた日本の判定基準が大幅に緩和されたことで、やっぱりねと言いたい人は多いだろう。
日本は男女ともに世界に誇る長寿国と言われているが、一方で日本は長生きなのに幸せそうじゃない国とも言われている。そりゃそうだ。健康なのに不健康な体型だと言われ続ければ気が滅入ってくるのは当然だろう。ポジティブ・デブの時代は、戦後長らく続いた医師会の力が衰えたことを示しているのかもしれない。良い事だと思う!

| 15.07.03

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