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チープ・ジャパン

今週の為替で比較すると、日本のユニクロで1,990円のポロシャツは、タイのユニクロでは790バーツなので約2,900円となる。購買力平価が低いタイ人には更 に高く感じるはずだが売れている。
同商品を他のアジア諸国で価格比較してみると、中国が約2,500円(129元)、台湾は約3,000円(790NTドル)、シンガポールは約2,600円(290Sドル)、そしてインドネシアは約2,750円(290,000ルピア)になっている。ちなみに、アメリカは約3,000円(24.9USドル)、イギリスは約2,700円(14.9ポンド)となるが、購買力平価を考えると日本とほぼ同額とも言える。ユニクロは日本国内や欧米では高品質低価格を武器に成長してきたが、アジアでは高価で高級なブランドとなっているのだ。東京・銀座に大規模な旗艦店を開業し、アジアでは高級ブランドが密集する拠点にあえて店を構え、高品質を印象づけて付加価値を付けることに成功していると言える。
去年あたりから、アジア各国からのインバウンド客が、銀座ユニクロに真っ先に足を運び、中には段ボールで爆買いする姿が見られるのも頷ける。アジア人にとって、既に日本は高質で安いのだ。タイでは一風堂のラーメンが円換算で1,300円、さぼてんのトンカツも1,300円と、共に日本の価格の1.5倍を上回るも人気絶大で、大戸屋に至っては値段的には高級和食店の趣すらある。今や常時バーゲン状態に見えるほど日本国内価格は安く、外国人にとって「チープ・ジャパン」というイメージが定着している。
日本の価格を安く見せているのは、その品質の高さでもある。ユニクロの素材、立体裁断と縫製技術の高さは他の追随を許さない。日本のファストフードも食材の質と味、そして安心感はピカ一だ。一方特別な品質感のないビックマックの単価を見てみると、日本が370円のところ、アメリカ564円、イギリス514円、シンガポール415円、タイ358円、中国326円、台湾295円、インドネシア264円となっている。これは過去20年間日本の物価上昇が止まり、購買力平価が大きく下がって東南アジア並みになっていることを意味している。
しかしアベノミクス的に考えると、この「チープ・ジャパン」を数年続けることで、日本の高質な商品は世界中に浸透することになる。経済回復が明らかになった時点で、再度購買力平価のバランスを上げ戻し、結果東京オリンピック開催の2020年をターゲットに1ドル80円、株価2万5,000円ぐらいを達成できれば、日本の経済は甦る?と言うことらしい。

| 15.05.08

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