エアクローゼット
最近、Web上で洋服借り放題サービスが続々リリースされている。
中でも、2月3日にスタートした「airCloset(エアクローゼット)」(www.air-closet.com/ )は、月額6800円の女性向けオンラインサービスで、ファッションの好みや自分のサイズを登録すると、プロのスタイリストが選んだ洋服が毎回3点専用ボックスで届く。飽きたらクリーニング・送料不要で返却することができ、交換回数無制限でボックスを返却するたびにトップトレンドの新しいファッションが届くというものだ。2014年10月にサービス発表後、わずか数か月で事前登録者が2万5000人を突破したそうだ。
同様に3月29日には「SUSTINA(サスティナ)」が月額5800円でスタートし、レンタルサービスを受けるための「App Store」「Google Play」でのアプリダウンロードが早々に1万人を突破、スタート直後から混雑が続いている。身の回りのあらゆる物が急速に「購入からレンタルやシェアへ」、また「実店舗からネットサービスへ」と変化しつつある。
そうした中、『フランス人は10着しか服を持たない~パリで学んだ“暮らしの質"を高める秘訣~』(ジェニファー・L・スコット著/大和書房)という本が話題で、売上が40万部を突破した。アメリカ人女性の著者が、学生時代にフランス・パリの貴族の家にホームステイしたときに学んだ“シック”なライフスタイルについて書いたエッセイで、原題は「Lessons from MADAME CHIC: 20 Stylish Secrets I Learned While Living in Paris」。”フランス人は10着しか服を持たない"というのは日本で付け加えられた邦題だ。マテリアリズムからミニマルへ、断捨離にも通じるシンプルで厳選されたものだけに囲まれるパリ流上質な暮らしを紹介する中で、季節ごとの自分に似合う「コアアイテム」を10着を目安に揃え、シチュエーションごとにワードローブを決める具体的なアドバイスが若い女性達の共感を呼んだようだ。
自分の身の回りが物で飽和状態であることを悟ると、着ないのに、使わないのに持っていることへの罪悪感を抱くようになってくる。そして、物ではなく「生活の美学」に価値を見出したいという欲求が強くなってくるようだ。本来、物は“所有”ではなく“使用”されることで価値が発揮される。物で満たされた先進国のワードローブは、もはや“所有”することをトレンドとは思わなくなりつつあるのかも知れない。
| 15.04.10